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ハロ-!エブリマメ 枝豆王子が行く

枝豆はおいしい!そして楽しい えだまめを家族団らんの象徴に

      
プロフィール

◆児島啓介[枝豆王子]◆

Author:◆児島啓介[枝豆王子]◆
作詞、作曲、歌、ギター、ほら貝

日本で唯一の枝豆研究家

歌う食育インストラクター

●食育の出前授業
『枝豆王子のいただきますワンダーランド劇場』
を主に小学校で行う(2007~2015現在)

●その他、お仕事承ります!!
食育イベントの盛り上げ係、
講演依頼、音楽ライブ、
枝豆の種まき、
レシピ実演など


O型 東京都出身 在住
青春出版社より『いつだって枝豆!(書籍)』を発売中


連絡先はメールフォームからお願いします
→ プロフィールの上にあります

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2012.01
24
11月のミッション:枝豆を目指して東から西へ舵を切れ

IMG_8349 (2)京都・和知黒
コピー (1) ~ P1050682兵庫・川北黒
コピー (1) ~ IMG_8492奈良・宇陀の黒豆


●旅を終えて

2011年は枝豆(時期的に大豆)を思いっきり体感してきた。
豆を”体感”しすぎてしばらく身体がぶるぶる震えそう。

でも豆は、おいらをからかうようにどんどん神秘を深めていきます。
おい待てー!


そして旅でご縁をいただいた皆さま、本当にいろいろなことを教えてくれてありがとうございました。
この出会いを大切にします。

では第1日目スタート!


●徳島県で出会った個性派農家さん・1

初めて淡路海峡を渡った。
初日は嬉しいことに雪印種苗・枝豆担当の橋谷さんが徳島を案内してくれる。
といっても観光じゃなくて…もっとステキなツアー。
農家さんめぐりツアー(笑

コピー (1) ~ P1050411

『恋姫』という品種の枝豆をいただいた。
うん、甘い。
でもいま11月ですよね?

「そうやってビックリしてもらうのが私の喜び。」と農家の鎌田さん。
じつは夏に収穫したものを冷凍しておいたのだという。
いつもなら冷凍だったらわかるのに、おいしくてだまされた。

正直に言います。四国で甘〜い枝豆は作れないと思ってた。
暑くて寒暖の差がない西日本の平地では不利だと。
徳島は台風の被害も受けやすい。
しかし鎌田さんは甘い茶豆に驚くぼくらを見てニヤリとしている。
ななななんで?

「トンネル栽培です(ビニールハウスのスリム版)。
 なるべく雨や風が当たらんように大事に育てる。
 タネまきの時期は寒さから守ります。土の温度を保たなきゃいけない。」
あれ?寒いんですか?
「一番暑い時期を避けるため。2月からタネまき始めますから。」
それなら枝豆の場合は台風の時期も避けられる!
「はい、それがうち独自のやり方です。」

最初のころハウスで枝豆を作り始めたら周りから笑われたという。
頭おかしくなったのかと。
わざわざハウスで栽培するのはイチゴとか高級なものが多いから(資材のお金もかかるし)。
その後、ハウスをトンネル栽培に切り替えて挑戦を続けた。
やがて他にはない品質の良い枝豆を高値で売れるようになった。

そういうことしてきて今がある。
「笑われてなんぼ、失敗してなんぼじゃけん。
 農家は毎年一年生。二年生はない。」
そういえばビックリしてもらうのが喜びとおっしゃってましたね。
「お客さんに”こんなおいしい枝豆ほかにないね”って言われてそれが生産意欲・励みになる。
 そのためには誰もやってないこともチャレンジしていかんとね。」

でも本当においしい枝豆を作るにはやはりそうとうな苦労がある。
たとえば用事があるとき、今日の天気なら大丈夫だ♪と外出して
戻ったら花芽がぜーんぶ落ちてたなんてこともあったという。
「ほんのちょっとの温度の上がり過ぎで、花芽はすぐ落ちるのやなあ。」
トンネル内の温度はいつも誰かが見ててあげなければならない。

他にも『植物に感情はあるか』なんて話もした。
”ある”ということで一致した。

「農家の人とはそんな話しません(笑
 たくさん作ってなんぼの世界。
 確かに、箱に詰めて出荷することが大事なんだけど、それだけじゃない。
 その先が農業の面白さではないかと思う。」

こういう生産者さんをみんなで応援したら、ぼくらの”いのち”ももっと元気になっていくと思った。

「我々は生産者ではあるけれど、消費者でもあるってことを忘れたらいかんね。」
このひと言も印象に残った。



●徳島県で出会った個性派農家さん・2

続いて橋谷さんが紹介してくれたのは佐藤さん。
橋谷さんはとってもマメに農家さんとコンタクトを取られていてすごいなと感じる。

コピー (1) ~ P1050416

えっと最初の質問…佐藤さんは…専業農家さんでしょうか?(背が高くて体育会系でケンカ強そう…)
「本気でやってるんだけど、まだ農家の匂いが出てないのかな(笑」
すいません失礼しました。

「いろんなことをズバっと言ってくれる人が好き。」
新しい品種を試したときなどは味の評価を知りたい。
近所の人に配るけど大人は”おいしい”としか言ってくれないという。

「標的は子ども。
 聞けばきっぱり言うよ。”何日前に食べたものの方が甘かった”とか。
 ヘイサンキュー!って感じで。
 そういうのをうちらは期待するんよね。」

向上心がすごいオモテに出てるひとだ。
たしかに子どもたちっておいしくなかったら食べない。

佐藤さんは毎年夏になると家族と子どもがいっぱい来る枝豆会で枝豆を出す。
そのなかで子どもたちを密かに観察し、心の中で翌年の作付けの品種選定をするのだ(笑
ポイントを教えてもらった。
「たとえば”今回のは茶豆風味でおいしいからな”と言ってしまったら
 先入観で期待できる答えを得られなくなる。」
ちなみにこの辺りでは茶豆の香りが強すぎるものなどは人気がないらしい。


佐藤さんの枝豆が優れているのは関西の高級スーパーにも卸していることからもわかる。
お店からこんな相談があったという。
”見た目がきれいでうまい”…それ以上のインパクトはありませんか?と。
「トウモロコシでもフルーツ系のものもあるでしょう。芯まで食べても大丈夫みたいな。
 そういう食べてビックリするような枝豆。なんだろ?」
枝豆以外のものと遺伝子をやり取りするのはナシで、面白いもの…。
気がつけばアイディア会議に突入。
”豆の形がハートとか見たいわな”とか…。
「まあいつもアホなアイディアばっかり出してみんなでふざけあってますわ。」
いや、なにか本当に枝豆の革新的なスタイルが生まれそうな雰囲気があるんですけど…。


ぼくは今夏、『莢音』という枝豆の品種を育てた。ていうか一緒に育った(笑
佐藤さんは莢音をもう6年栽培している。
もともと茶豆風味に興味があり、パンフで見つけたのがコンパクトサイズだけど莢は大きいという莢音。
これならトンネルに収まるしちょうどいいと。

「それで始めたんだけど何年経ってもパンフに載ってるほど大きい莢はできへんのですよね。
 1本の樹に莢の数が多ければ多いほど莢は大きくならんのかなあ?味もぼけるかな?」

すると雪印種苗の橋谷さん
「大きい莢にしようとしたら莢は少ない方がいい。枝豆にはそういう傾向がある。
 ただ味まではそんなに…やっぱり天気と収穫のタイミングに左右される方が大きいですよね。」

徳島を見渡しても佐藤さんしかやってないという独自の栽培法はたくさんあるらしい。
「基本的には、健康的な1本の樹をこしらえてやったらおいしくなるんですよ、とぼくは思うけん。」
このひと言の中に膨大な意味とデータが含まれているんだ、と思った。
面白いなあ枝豆。

「あとは勘を大事にしてる。そういうのが農業にもあるんですよ。
 ”あっ”て思たら”なんかやらな!”っていう勘が利くような感覚。
 ここ最近は天候とケンカしても連敗やけどね…。」


農業をもっと魅力的なものにしたいと力を込めて言う。
「徳島は若い新規就農者が特に少ないと思う。
 それはどうにか打開したいなあ。」


農家さんの話は本当に面白い。
栽培方法は人柄が出る。もちろん作物にも出るんだと思う。
雪印種苗の橋谷さん、農家の鎌田さん佐藤さんありがとうございます。



●徳島でイベント出演報告

コピー (1) ~ P1050444 コピー (1) ~ P1050520

徳島2日目。
コープ自然派徳島さん主催の『ほんものたべものフェスティバル』
枝豆王子として歌とトークのライブでした。
枝豆クイズが入ってる巻物を探したり。
上の方から登場して階段の踊り場をステージにして会場をフルに使ったー(笑。

この日のための1曲を作詞作曲しまして、阿波踊りも少し散りばめた演出だったんだけど…。
阿波踊りの部分は子どもたちの突っ込みを受けながら(汗、
みんな楽しく盛り上げてくれてありがとう。

最後はある子のお母さんから「のどにいいですよ」って自家製の『みかんはちみつ』をいただいて、
それがまたおいしくて徳島の思い出の1つになりました。
徳島の皆さんありがとう。



●黒豆(枝豆)探して岡山県: 美作市 作州黒(さくしゅうくろ)

瀬戸大橋から岡山入りして黒豆の門を開く。

『作州黒』は時間がなくて畑を見学させてもらっただけなんだー。
もっと見たかった。

IMG_8137.jpg コピー (1) ~ IMG_8156

莢でか!そら豆の大きさに到達しそう(いまの時期は枝豆と大豆の中間くらいの状態)
もう1枚の写真は美作市にある湯郷温泉郷の看板(枝豆型であります!)

枝豆としては10月にいただけるようです。
でかい枝豆食べたいな。

岡山県では丹波由来の黒豆が盛んに生産されている。
県の北の方に位置する勝央地域で作られたものだけが『作州黒』と呼ばれる。

来年の枝豆シーズンに出直しますか。

作州黒よ。
おいらに興味を持たれてしまったが最期。
いつかその魅力をすべて暴きだす。



●黒豆(枝豆)探して兵庫県: 丹波篠山市 丹波黒(たんばぐろ)

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枝豆の旬の時期に一度訪れたことがある丹波篠山市。
篠山盆地が育む枝豆は栗みたいにほっこりおいしかったのが忘れられない。

「秋になると372号の国道は枝豆販売テントのオンパレードですわ。」と市の黒まめ係・小畠さん。
でかんしょ街道とも言われる国道だけど10月だけは”枝豆街道”って言われる人も多いとか。

10月上旬。枝豆の旬を告げる解禁日を設定しちゃってるのはすごい。
普通は品種がどんどん改良されて旬の時期は拡大していくものだから。

「そもそも枝豆って大豆の成育過程で秋に収穫されるものですね。
 ここの丹波黒のほとんどは昔ながらの姿で残ってます。」
そういった枝豆の側面というか…側面じゃなくて本当はそこが一番豆が持ってる力、生命力を一番発揮するのが秋かもしれないですよね。

「夏にビールと枝豆さいこーなんだけど秋の枝豆が本領発揮したら
 ビールなしでも豆の味がこんなにおいしいく楽しめるってことを周知していきたい。」

でもおいしいと思っているのは人間だけじゃないみたいで…
「イノシシとかシカによる被害がひどいです。最近はアライグマとかね。
 作物のできたものを人よりも一歩先に食べてしまうもので動物たちは賢いですよね。」
おいしいものはよく知ってますね。

丹波篠山の丹波黒(枝豆)に詳しい人はもう少し奥深くまで踏み込むことになる。
篠山の黒豆は西の『川北黒』と東の『波部黒』があって波部黒をもとに県で作られた『兵系3号』というのもあって、その3つを総称して『丹波黒』という。


「私ら枝豆作ってて、知り合いや親戚のところに豆を送ったりするんですね。
 それで少ししか送れてないのに少ないのをまた小分けしてご近所に配ったりとかね、
 そういう話を聞かせてもらうことがうれしい。来年もがんばって作ろうかなと励みになってる。」
ありがとうを伝え合うっていうことですよね!ステキな話です。


●川北黒に会いたい♪

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丹波篠山市の川北地区を歩いて豆を干している農家さんに話しかけてみた。
枯れた枝豆の樹を干しているんでしょうか?

「あの枝豆を畑で放置するとやがて黒いタネができあがって、できあがりの音があるんですわ。」
おばあちゃんが樹を振って”カラカラ”という音を聞かせてくれた。

「まだできあがってないのも入ってるね。」とタネになる直前の紫色した豆も見せてくれた。

丹波黒(枝豆)は一斉に干される時期で、風が吹くとあちこちで”カラカラ”の音が楽器みたいに小さく響き渡った。



●黒豆(枝豆)を探して京都府: 京丹波町 和知黒(わちぐろ)

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丹波篠山市から京都に入り、さらに山の深いところに入ってきた。
和知という地域。
神秘的なマメがたたずむ気配がある。まずは深呼吸〜。

こんにちは。

京都で栽培される丹波黒の多くは『新丹波黒』という品種になる。
そのなかでも和知で育まれたものだけを『和知黒』と呼ぶという。
他の黒豆との違いは何だろう。

岡山-兵庫-京都と回ってきて、どの黒豆の大豆を見ても見分けがつかなかった…。
でも微妙に違うのはマメが育つ地域の標高や周りの山々の形。
同じ系統のタネも環境に応じて変わるんだと今までの旅で学んできた。
この『丹波由来の黒豆』たちもマメだけじゃなく、マメが育った風土そのものを丸ごといただくんだと思ってみよう。
様々な味わいを感じることができる(いまの時期は枝豆がないから煮豆で食べ比べてる)。

おっとー!今回の旅で初めて生の枝豆を発見!(小さな直売所にて)
11月末なのに。

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もしもし枝豆さん、莢が黄色くなってあきらかに収穫時期を逸してますよね?
枝豆さん:「私は和知黒の枝豆。地元の人たちの中には少し莢が黄色くなりはじめたわたしたちを好むひともいるマメよ」
へぇ~いろんな文化が残っているってことなのかな。

慣習に従って10分以上ゆでてからいただいたら違和感なかった。
でもやっぱり枝豆よりイモの味かな。
大きいから食べ応えはあるね。

黒豆って世界で一番大きな大豆らしい。
おもしろいのはどの黒豆産地に行っても「うちのが一番大きい」と譲らないこと。
”大きさを競う”
これは江戸時代ころから家元同士で競い合ってきた歴史もあるのかな?
より大きな豆をタネとして選抜し続けて、ここまで大きくなったのかしらん…(妄想中)。

もう1つ黒豆界で競い合っているセクションがある(笑
”豆に粉がふいている” →粉の正体は植物系の蝋質らしいが
乾燥したタネの表面に出る白っぽい粉が”本物の証”だと説明してくれるんだけど、粉を吹く原理がわからない。
一方で北海道代表の黒豆『ひかり黒大豆』はタネをピカピカに磨いて乾燥大豆として販売する。
ますますわからん。
まだまだ長い旅になりそうだ。



●黒豆(枝豆)を探して奈良県:宇陀市  宇陀(うだ)の枝豆

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『宇陀の枝豆』は奈良の山間部にひっそり隠れたごちそうだ。
神秘の枝豆は紐解かないと気が済まないっす。

黒大豆・小豆生産部会長の上西さん宅を訪ねた。
さっき奈良市のくるみの木というおしゃれな雑貨屋さんに寄ってきまして、
奈良の逸品コーナーで『宇陀の黒豆しぼり』が選ばれてました!と報告するとうれしそうにストーブのスウィッチを入れてくれた。

タネは宇陀で生産しているでしょうか?
「丹波黒っていう品種、ご存知ですよね。
 種子を管理している奈良県の機関が丹波のほうから取り寄せたものがありまして。
 それを譲ってもらって播くんですな。」
出荷する期間は1年のうちでたった2週間しかしかない。長所でも短所でもある。
10月上旬くらいに枝豆としていただけるとのこと(丹波篠山と同じだ)。

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この新聞記事では丹波黒に負けぬと。
「ここで標高にして400くらいなんですよ。丹波はまあ150~300くらいです。」
山の高さですね。
「おととしでしたかな、夏にものすごい高温が続いた。
 そのときに丹波のほうは黒豆に白い斑点がつく高温障害がひどかったんですよ。岡山県にしてもね。
 ところがここはそういう障害がなかった。
 こちらのほうが若干平均気温が低いんですわな。それが幸いした。」
確かに大自然というか魔境というか。
ここで育つ作物は自然の贈り物ですね。

ここでもやはり動物が畑を荒らして悩みのタネになっているという。
「シカとイノシシとアライグマ。
 いつまでも彼らのえさを作ってるわけにもいかない。」
防御すれば別の畑に集まることになるだけ?
難しい問題だけに解決の道は遠そうだ。

「ふる里宇陀黒豆・枝豆まつりの日は特別で毎年2000人もひとが集まりますよ。」
旬の枝豆を採れた地域で味わうってそれ以上の幸せ・・おいしさはないって本当に思います。
こんど参加したいです。魔境の黒豆(枝豆)で幸せに浸りたい。

「あと今年も奈良県下の小中学校の学校給食に枝豆3トン卸したんですよ
おおっ黒枝豆…ぜいたくな給食ですね!子どもたちにはどういうふうに出すんですか?
「莢からむいてゆで豆として出すんでしょうなあ。
 えだまめごはんになってるかもしれないですかね。」
うれしそうに話してくれました。

その後も”ホンモノとは何か”、”上西さん家のキビとアワ”など…そういえばアワといえば今回はアワ由来の阿波の国(徳島)から旅がスタートしたんだっけ!
運命には逆らえないなあ。
すっかり日が暮れてあやうく直売所が閉まってしまうところだったが、
伝説の”米の値段と逆転した”という宇陀市のキビをゲットすることができた。
・・・アワが売り切れていたのも運命のいたずらか。



●在来種を探して三重県: 松阪市 美里在来(みさとざいらい)

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豆腐屋・野瀬商店の野瀬さんと生産組合代表の在間さんに話を伺った。

三重県でも在来大豆が保存されているんですね。
「13種類くらいあって、そのなかで美里在来に私らがスポットを当てました。」
他の種類のタネは県の農業機関で眠っており、スポットが当たればいつでも外に出て行く準備ができているのだ。
だいたいどの県の機関でも昔の在来大豆が今でも種子保存されていることがわかってきた。

毎年10月中旬に美里在来の枝豆収穫体験イベントが行われているようですけど…。
「枝豆としてはイベントに使う程度でいまは出荷もしてないです。
 主に豆腐・豆乳ですね。」

枝豆は甘くて粒が大きく評価が高いので今後は生産を拡大していくという。

「しかし育てにくい…。」と農家さん。
どれも枝が横に流れてぎりぎり倒れないで上に伸びようとしている姿をしてる。
「列も乱れてるでしょう。それが特長。」

嵐が過ぎ去ったあとの畑にみえる。
改良してない原始的な大豆の証。
津市のほうに美里村という地名があってそこが発祥の地かもしれない。

「まだまだこの地域の大豆の歴史は5、6年。
 これから産地と呼ばれるようになりたいな。」
まだ助走の段階とのことです。

じつは美里在来は会社経営なのだ。
農家さんたちが株主。
この地域の農家さんはいまは誰も個人ではやってない。
松坂市嬉野の『ごん豆(ず)』という直売所で販売している。


一度聞いてみたかったんですけど、”枝豆豆腐”ってあるじゃないですか…。

「枝豆状態ではまだタンパク質が足りないもんで豆腐にはならない。
 よくある枝豆豆腐というのは普通の豆腐に枝豆ペーストを混ぜてる。ただそれだけです(笑。」

豆腐を作るのは難しいことじゃないという。
「原材料の豆を選定していくことのほうが重要。
 タンパク質・炭水化物・油脂分・糖分の成分だとかを理解しながら。」
そしてその土地にあったものをいかに選定できるかの方が大事。
生産加工業者と生産者が全く意思疎通がされてないとうまくいかない。
「よそから来た大豆ではそんなに調子良くいきません。
 豆腐がおいしかったら大豆の生産者のおかげ。
 にがりを売りにしてるような豆腐は豆がない証拠。」
ズバっと言いますな。

あとは環境の変化や平均気温が上がっていけばまた対応していかなければならないこと。
次世代にどう残していくかってことも話してくれた。

在来種に特化している豆腐屋もあるけど少ないですね。
「三重県では多分うちだけ。
 出口がないと農家さんもなかなか作れない。
 出口さえ作れば…。」



●在来種を探して長野県・1 伊那市  鞍掛豆(くらかけまめ)

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長野県入り。
伊那市の産直市場のグリーンファームへ。
2000人以上の農家さんがここに出荷してる。

広い店内で大豆を見つけるのは大変だった。
グリーンファーム会長の小林さんに話を聞いた。

在来大豆の『鞍掛豆』について教えてほしいのですが。

「鞍掛豆という名前はこの辺では通用しないですね。
 みんな”浸し豆”と呼んでる。地方名だね。」
浸すんですね?
「ゆでて醤油をかけて食べる。おひたし。
 収穫量がとても少ない。」
収穫しようとすると莢から豆が飛んじゃうという。
農家さんにとって非常に扱いづらい。採算はあわない。

なぜ作るかというと、うまいから。
食べたことあるけど海苔風味があって本当においしい。
樹は枯れたら乾燥させて棒でたたいて実を取る。
枝豆として食べても非常にうまいそうだ。
絶対食べたい!(売ってるの見たことがない)

鞍掛豆の起源まではちょっとわからないという。
その代わりに枝豆の昔話(実体験)を聞かせてくれた。

この地方では食べる枝豆をどこで作ったか →畑ではなく田んぼの畦(あぜ)で作った。
田んぼの水持ちを良くするために、土手の周りの土を粘土状に練ったものを壁にしてきれいにする。
そこに50cm間隔くらいで穴をあけていき、大豆(タネ)を入れる。
そこに馬糞なんかを押し込んでおく(笑
成長した枝豆を秋まで放っておくと稲刈りの邪魔になったりするらしい。
「自家用の枝豆にして食べちゃおうと、稲刈りの前に金持ちの衆はそういうのを食べた。
 我々貧乏人は枝豆なんてぜいたくな食べ方はできない(大豆は貴重な保存食)。」
それが豆と人間との関係。身近な付き合いなのだ。


信州といえば『そば』!そばの歴史も教えてくれた。
”神様が宿る山の麓にはそば処がある”という話。
奈良時代に山岳信仰の広まりとともにそばの栽培が広まっていったんだね。
穀物を粉にして火を通さずに加工し、消化できる食べものが山沿いを旅をする修行僧にとって貴重だったのだ。
「という学説を私が発表したんです。」
ええー!学説ですか?でも本当っぽい。
「どこからも異論は出てません。」
小林さん、あなたはいったい…?
そば職人でもあり、そば屋を経営していることまでしか教えてくれないが、すごい方に違いない。

大豆の歴史のなかにも隠れた伝播の秘話があるだろうか。
もっと調べてみたい。

「ここは農村文化の発祥の地だから、ここに来たらたいていのことはわかっちゃいますよ。」
長野県の豆を知る入口として伊那市に来たのは大正解!



●在来種を探して長野県・2  小川村 西山大豆

松本市内の小さなタネ屋さんでついに有力情報!

長野市信州新町、中条、小川村の地域で採れる大豆を『西山大豆』と呼ぶ。
この西山大豆の中に『鞍掛豆』も含まれているらしいと。

小川村の役場へ行くと100%西山大豆で作る豆腐屋さんがあると教えてもらった。
豆福亭へ。

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緑色の豆腐きれい。
品種は『あやみどり』と『ナカセンナリ』。
大豆の色がそのまま出る。
あやみどりは豆のへそも緑色だからまるで緑色の豆腐を作るために生まれてきたような品種だ。

やっぱり大豆にこだわった豆腐はいい!
西山豆腐ごちそうさま♪(すっかり鞍掛豆のこと忘れてる)。

「この大豆が採れた場所?裏の山を上った集落だよ。」
豆福亭の伊藤さん。
集落を訪ねてこそ地大豆を味わい尽くせるというもの!
「まだ収穫してない大豆があるかもしれないね。」
急げーー(雨だったのに太陽も出てきた)。

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小川村いいところだ。
空気がおいしい。
…めちゃめちゃデカい野菜を発見。
こんにちは何をしてるのですか?
「野沢菜を採ってるの。雨が降ったあとだから重いよ。」
これ野沢菜??漬けたものしか見たことない。
でかい野沢菜に隠れて見えなかったが隣は西山大豆の畑だった(鞍掛ではない)。
写真撮らせてください!
(↓手前が大豆畑)

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小川村名物の”おやき”もおいしくて幸せ。
メニューは2種類。
野沢菜と大豆で作った卯の花だった。
(メニューは季節毎に変わる)。

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旬をいただく。小川村をいただく。
竪穴式住居でいただく…はっ!鞍掛豆を販売してる!!
「この辺ではみんな作ってるよ。自分とこで食べる用に。」
とおやきを焼くおじいちゃん。
いつごろこの地にやってきた豆なのか遥か昔のことでわからないという。
でもこの辺りの在来種である鞍掛豆のタネをある研究機関が選抜し、バラバラな生育を何年もかけて調整し、県内のタネ屋さんに供給しているそうだ。

まさか”おやき”が鞍掛豆を知るための重要なアイテムだったとは。
すべてに意味がある。つながってる。


楽しかった!鞍掛豆の魅力に迫ることができた

P1050935.jpg IMG_8761.jpg



全国の枝豆のこともふくめて本当にたくさんのことを教えてくれた。

シンプルな方法で『信濃鞍掛(しなのくらかけ)』という品種は誕生した。
西山大豆の鞍掛豆から優秀なものを選び、タネをとって何年もかけて増やしていく。
その過程で、もしかしたら生育がまとまっていないものがあるとそういうものを排除していく。
揃っているもの、それを残していく。
そういう操作をして何年か繰り返していくことによって変動がなくなれば”固定した”という形でそれを品種にしていく。
新しい遺伝子を入れてきたとかじゃなくて、あったものの中から特長のいいものを残してきた(純系分離というやり方)。


【鞍掛豆の起源についての仮説】

あくまでも可能性の話。
小川村の近くの”戸隠(とがくれ)”という地域は歴史的な話で、京都から地方おくりになって逃げてきた人たちとかが多いところ。
もしかすると京から都落ちしたひとたちがあちらの方の豆とかを持ち込んで細々と作ってたかもしれないという。
なぜなら、鞍掛豆は成熟期が非常に遅く、本来ここで作るには難しい大豆だから。
長野では10月下旬くらいには成熟しないと雪も多いし霜が降ると大豆の生育も止まってしまう。
在来種だからといって昔からそこにあったものとは限らないという。


【大豆(タネ)の表面に模様が出るのは鞍掛豆だけですね】

このデザインはどうやって作り出されたんだろう…。
無茶な質問だと思ったけどぼくのレベルに合わせて説明してくれた!

鞍掛豆は緑色の大豆なのだが、もともと遺伝子として黒い色素を持っている。
じつは”その黒い色素を抑える遺伝子”というのも持っている。
その抑える遺伝子が大昔に何かのきっかけで壊れてしまった。
黒い色素は恒常的に抑えられなくなってしまって、一部にばーっと出てきてるのではないかと。
黒い色素の成分は黒豆と同じアントシアニンだと思われる。

それが鞍掛豆のオンリーワンの個性。

それとはまったく別の話で、大豆が病気にかかったときにも表面に模様が出ることもあるという。
褐斑粒・かっぱんりゅうと呼ばれる。
たとえば黄色い大豆がウィルスに感染することによって茶色を抑えていた遺伝子が働かなくなっちゃって模様が出る。
鞍掛豆の模様は個性なのでそれとは違うけど、色素が出るメカニズムは同じと考えられている。


それぞれの大豆・タネの色というのはこうやって遺伝子のバランスや破壊で決められていくのか。
なんとなくだけどわかってきたぞ。
それならすべての大豆のご先祖様は1つの豆に行き着くと考えることが可能かもしれない。


【そして『ツルマメ』の登場】

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野生のツルマメ

有力な1つの説として枝豆・大豆のご先祖様と考えられている『ツルマメ』。
人間でいえばお猿さんみたいな存在。
莢は2cmくらいしかない。
栽培する人はいなくて、いたるところで自生している。
すべての枝豆・大豆と交配することが可能な貴重な遺伝資源で、あわよくば使いたいという。
そのなかにある特長的な成分や、病気に対する抵抗性などを活かしたいと。

さらにツルマメにはおもしろい特長がある。ほー!
発芽せずに土の中でそのまま翌年まで越冬することもあるという。
というか、何かをきっかけに(凍結やらで)種子が傷ついたりふくらんで割れたりしないと発芽できない。
そうしないとタネが水を吸えない。

ただしタネのへその部分が傷ついてしまうとタネは死んでしまう。
豆粒が莢の中にいるとき、莢とつながってる部分がへそですね。遺伝子が集中してる部分。
種皮に模様や病気が出るときもこのへそから中心に模様が出る。

枝豆・大豆のタネは基本的に越冬しないし長持ちしない。
でもたま〜にツルマメほどじゃないけど長持ちする大豆もあるという。
この長持ち大豆の遺伝子には秘密があるかもしれない。
かつて長持ち大豆の祖先が、たまたま近くにいた野生のツルマメと結婚して生まれた子に由来してる可能性があるのだ。
そういう研究のデータもある。

ツルマメが採れる場所も教えてくれた。
ちょっと行ってみまーす!

最初は枝豆の魅力を知りたいと思ってただけなのに。
横にも縦にも長い旅になりそうです。



●在来種を探して山梨県: 北杜市 北杜市の青大豆

P1060051.jpg IMG_8874.jpg

山奥の奥にずんずん行った集落(標高1100m)。冷える。
ここに昔からある在来種の青大豆があるという。
名前がついてない…。だから北杜市の青大豆。

なぜここに行きたかったかというと。
日本最古(約5000年前)の大豆の遺跡が見つかった場所の近くだから。
その名も北杜市にある『酒呑場遺跡(さけのみばいせき)』。
出土した土器から大豆の痕が見つかり、当時稲作と大豆がセットで栽培されていたこともわかったという。

その遺跡の大豆が『北杜市の青大豆』だったら…なんて思わない。
いままで勉強してきてわかったのは大豆は長い歴史の中で各地を移動しまくっているということ。
でもでも…ロマンがある。

いま栽培されている青大豆はNPOえがおファームがタネを受け継いで栽培している。
青大豆のことは5000年前にサカノボルどころか10年前の情報さえわからなかった。
タネを見るかぎり濃い緑で黒いへそ…山形県や長野県の集落でも見かけた在来種のタイプだと思った。

「カッコウが鳴く頃にタネを播けとこの地域では言われてて。」と小俣さん。
もしかしたらお年寄りの方々に聞き込みすれば青大豆を50年くらいさかのぼれるかもしれない。
ちなみにカッコウが鳴く=タネをまくのは5月下旬~6月上旬。10月の上旬に大豆として収穫する。
夏は枝豆として食べても甘くて好評だという。

「枝豆王子さんは全国の枝豆を調べてて熱い人だなあって思います。」
いえいえ農業に惹かれて移り住もうって考えて実行しちゃうほうがスゴイです!
小俣さんは東京からここへやってきて就農した若者たちの一人。
地元のひとたちとも気軽に言葉を交わしてすっかりとけ込んでる。

「農業やればやるほど職人欲求みたいなものが満たされるんです。」
しかも弱かった身体が3年ここに暮らしてよくなったという。
東京にいるときはマスクしないと外に出れないくらい身体が弱かったが、ここに来てから3年。
まったく病気もしないし、しそうもないという。
環境だけじゃなくて充足感も身体に影響してるかもしれない。

「枝豆王子さん、花豆にも興味あります?大豆畑は終わっちゃってるんで。」
もちろん!なにも知らないので教えて〜。

紫花豆(インゲン科・アメリカ原産)

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初めて莢を見たけど形は枝豆と似てる。サイズがそら豆以上ありそう。

花豆の甘露煮をいただく。
食べ応えのある巨大な小豆という感覚。
甘みもちょうど良さも絶妙で、最高のおやつでした。





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2012.01
24
10月のミッション:東北~関東の幻の枝豆を探せ

P1040845.jpg青森の毛豆
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コピー (1) ~ tukui5津久井在来
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chichibu8.jpg借金なし



これから宮城〜岩手〜青森〜秋田〜山形〜埼玉〜千葉〜神奈川の旅が始まる。
ミッションは在来種の枝豆??
その前においしいもの食べてから!

『ずんだ』がすんごくおいしい町へ

●第9回角田市ずんだまつり(宮城県)

2階の中央テラスから登場して「ハロマメ!」

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1曲歌ったら下におりてきて、1時間の歌&トークのライブです。
この日のために作ってきた『ずんだまつりのうた(振り付けあり)』がある。
歌と振り付けを子どもたちに覚えてもらったんだけど、最後は思いがけない展開に。

振り付けをマスターした子どもたちがステージ側にきて、
「発表会みたいにお客さんに向かって踊りを披露したい」と提案してきた。
いいねーやってみよう。

子どもらは踊りから演出係まで最後までやりきって枝豆王子ライブを楽しさ2倍にしてくれた。
角田の子どもたちに拍手したい!

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『ずんだ』が主役のお祭りはどこを探しても、この角田市だけだと思う。
そしてずんだもちだけと思ってた者はあわてふためく。
ずんだロール(ケーキ)ずんだコロネ(パン)、ずんだパイ…会場ではなにもかもが『ずんだ』になってる。
おしゃれでおいしい。

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わかった。
『ずんだ』自体に秘密があってお菓子屋さんはそれにきっと気づいてしまったのだな。
ずるいぞ!おいらも知りたい。

聞いてみるとしよう♪

ずんだの原材料である枝豆は地元・角田市産だった。
東北では広く親しまれている『秘伝豆』という種類の枝豆だ。

角田市役所の方々が農家さんの畑まで案内してくれた。
秘伝豆は夏に花が咲いて10月頃に収穫できる豆。このタイプは夏場の管理が難しい。
今年の生育はどうでしたか?
「夏が暑すぎた。暑さで花芽が落ちたよ。
 花が落ちたということは実がつかないということだから今年は収量がうんと少ない。」と農家の太田さん。

ずんだまつり用の枝豆を収穫したら大豆の分はほとんどなくなってしまったとのこと。
(大量に用意されたずんだ餅はそれでも途中で売り切れる大人気っぷりだった。)

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枝豆は花芽をつけるとまず花粉を作り始める。
受粉したら小さい莢を作り始める。
ところが32〜35℃を超えると花粉は死んでしまうという。
その温度を調整するのが水分。
特に土の温度を変えてやることが必要なのだ。
毎日水を撒けばいいんだけどそれができる規模は家庭菜園まで。

今年はだいぶ苦労されたのですね。
でも味はすごく良かったです。
「収穫できた枝豆もね…莢の大きさがまちまちで、1粒莢も多かった。
 こうなると大変なのは使えるのと使えないのの選別ね。」


ずんだ作りに向いている豆ですよね!と言うと農家さんの表情が変わった。
「甘くて香りが良くて粒の色の緑が鮮やかで、薄皮を取らないでもいい。
 これ以上の豆はないと思うよ。
 秘伝豆の収穫期には餅も新米がとれる時期だけに最高!」
そっかー!いまいただけるのは新米の本当に贅沢なずんだ餅。

ずんだレシピは秘伝豆だけに…秘密ですか?
「秘密じゃないけど、レシピはないよ。
 甘さの加減は天候次第で毎年変わる。
 奥さんが担当だけど、砂糖を入れながら感覚で仕上げてる。」

プロの業。やっぱり秘伝だ。

角田市では農家さんとの出会いだけではなく、いろいろな5つの「め」を楽しんできた。
「め」とはなんでしょう?

ひとつはもう出会ってる「まめ」。
あとは「こめ」でしょう。「うめ」も角田市は有名なんだ。
この地は伊達政宗公の次女牟宇姫が嫁いだ石川家の領地とのことで「ひめ」。
5つめは「ゆめ」。
「ゆめ」とは何だと思ったらこれもすごい!
『角田宇宙センター』
日本の宇宙ロケットのエンジンの研究開発を行ってる施設だよ。
JAXAだよ!
頭のなかに浮かんできた。
ずんだロケットがおいしさを詰め込んで角田市から打ち上げられていくところが。
マッハ10。

ほかにもスペースタワーから阿弥陀如来坐像まで1日がかりで案内してくれた角田市役所の方々ありがとうございました!
すっかり角田が好きになってしまいました。

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来年もこの時期(10月初旬)は角田市でずんだをグルメしたいな。
これを食べずしてずんだは語れません(秘伝ですな)。



●宮城県・気仙沼茶豆を探して

気仙沼市では『気仙沼茶豆』という枝豆が栽培されている。
震災があり、枝豆も生産者の方々も大丈夫だろうか。

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JAで連絡を取っていただき、仮設住宅で暮らす枝豆生産組合長の佐藤さんに会うことが出来た。
ご自宅も農機具も水に流されたが農地が2/3ほど残ったのだと笑顔で話してくれた。
「もう今年は畑もできないと思ったけど、流されなかった畑もあるから。やらなければ!」

ぼくが佐藤さんのことを知ったのは新聞の小さな記事だった。
宮城県登米市にある団体が農業の重機をトラックで運んで貸し出し、土の開墾を手伝い、枝豆生産を再開することができたというのだ。

畑を案内してくれた。
これはめずらしい…葉っぱが5枚ずつ生えてるじゃないですか!在来種ですよね?
「最初の葉が1枚ずつ出て次が3枚のが出て、最後に5枚の葉が出てくる。
 14、5年前にある人が山形に行って、おいしいのがあるって持ち帰ったの。」
気仙沼の環境に適応したこの豆は、いまやこの階上地区の宝の1つになった。
5葉の枝豆はたしかに山形や秋田に見つけることができるから、このタネのルーツをこんど探しにいってみよう。

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ここでは枝豆は収穫期を過ぎ、タネになっていく途中の期間(登熟期)に入っている。
枝豆時代は緑だった豆粒はいまピンク色!
このあと粒が小さくチョコレート色になったころ、タネとして収穫するんだ。

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タネを見せてもらった。赤みがかった茶色いタネだ。
どこのタネ屋さんにも売ってるのを見たことがないものだった。

「自然災害は仕方ないね。
 それでも太陽の下で働けるのはありがたいこと。
 今年はいいタネが採れそう。希望のタネ。
 まだまだ負けてられない。
 来年はまた例年と同じ面積に戻せるようにがんばるよ!」

本当にステキな組合長さんが作っている気仙沼茶豆。
おいしいだけじゃなくてその向こう側もたくさんのひとに知ってもらいたい。

「東京でこのタネをまいたらどう育つか、実験してみてよ!
 情報交換しようよ。」

そう言って渡された1つかみのタネ。
春になったら、東京でもまいてみます。

旬の時期は9月中旬: 販売・問い合わせ先「菜果好(なかよし)気仙沼階上店」



●ちゃげ丸・岩手県の農業研究センター

ここ数年、順調に出荷されていると思われた…黒豆の枝豆『ちゃげ丸』
「いやあ。来年から供給がなくなるんです。タネは保存されますけどね。」とのこと。
ノー!!売れなかったのか、それとも農家さんに樹が嫌われたのか?

食べたことがなくて申し訳ないのだけど、ある突っ込みどころがあって、すごく気になっていた。
なにかというと、黒豆の品種なのに親が黄大豆と青大豆なのだ(この両親の交配で作られた品種)。
正式な農林水産省の品種登録データにもそう記されている。

またひとつわからないことが増えた。
枝豆・大豆のタネの色はどうやって決まるの??

ちゃげ丸を育種した研究施設を訪ねて聞いてみたけど開発当時の担当者はもういない…。
現在の枝豆担当の方からは岩手の枝豆情報をたっぷり教えてもらえた。

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種皮の色の謎、絶対解き明かしてみせるぞー!

あとちゃげ丸!この世からいなくならないで!誰か生産してー!!


●在来種を探して岩手県: 佐藤政行種苗さん

あの『秘伝豆』を誕生させたタネ屋さんを訪ねた。
そういえば角田市に滞在中は秘伝豆を1日3食いただいたかなあ。

HPを見ると”タネも仕掛けもある会社”と書いてある(笑
”仕掛け”とはおそらく”こだわり”の意味に違いない。
お話を伺っているうちに、枝豆の在来種の魅力は日本の国土のすばらしさでもあると気付いた。

まずは秘伝豆の紹介から。

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【秘伝豆】
枝豆としても大豆としても利用される品種は”二刀流”とも呼ばれる。かっこいい。
宮城・岩手・秋田・山形など広範囲で地域のメインの品種として採用されている。

最初はどんな完成形を描いてタネ作りが始まったのでしょう。
「枝豆の品種として改良してきたが、あとからどういうわけか納豆や豆腐に加工しても優秀だという評価がでてきた。」と高橋さん。
20数年前に、始めは2種類の在来種を掛け合わせて選抜して開発した品種だという。
片親は『かおり豆』という系統でそれ自体は絶滅してるが、一部を佐藤政行種苗さんで保護して商品化しているという。
山形の『だだちゃ豆』のルーツに新潟は『かおり茶豆』というのが一説となっているが、それとは違う系統らしい。

在来種を新しいタネ作りの素材として集める。
それはどこの試験場でも種苗会社でも行われたことだけど、実際に在来種にこだわって商品化しているタネ屋さんはめずらしいのではないですか?
「在来種は野生のものだから一筋縄には行かない。
 在来種のいいところを探して取り入れるんですね。」
高橋さんは”運”というか、秘伝はたまたまうまくいったと言うけど、執念の研究の成果なのだとわかる。

商品のラインナップを見ると”まだ滅びてなかったのか!”というような昔ながらのタネが並んでる。
在来種の枝豆・大豆はおいしいだけじゃ生き残れない。
生産しやすいように改良してあげないと売れない。
機械による大量生産時代においてけぼりなのだ。
在来種を続けるのはどうしてですか?
「もうからないものはしまえばいいんだけどそうもいかない。
 家庭菜園用や地域で必要とされるという状況があれば在来種は絶やしたくないです。」

交配というのはあとから始まった技術。
昔の人はタネの選抜を繰り返して、栽培した人や地域の好みで選び出していって品種を定着させてきたんですね。
自然のなかで別の品種の花粉が混じり合ったりすることもあっただろう…。
話は尽きない。

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【産毛は白と茶がある】
白と茶の中間の銀色もある。
ここでこれまでの枝豆業界のトレンドの流れをざっくりと。

昔から一般的に言われていたことは白毛より茶毛のほうがおいしいと言われてきた。
北海道の大袖振や早生緑というのがあった。

でも白毛の方が見た目がいいねってことであるときから白毛が増えた。
サッポロミドリがその火付け役だった。
しかも早生品種でお盆の頃に食べれる革命品種。

最近になるとやっぱり茶毛がおいしいよねと茶毛が増えた。

「植物からみたら枝豆の歴史なんて壮大な歴史の中のちょい最近の出来事。
 基本的には自然が作ったものを人間が利用してきたということ。
 それが品種の多様性を生んだんです。」と高橋さん。


【ちゃげ丸に対するヒント】
岩手農業研究センターで育種された『ちゃげ丸』の種皮の色の話に戻る。
すべての多様化した大豆の先祖が『つるまめ』という同じ豆だと考えると不可解なことではないという。
「実際に色の違う豆(タネ)はよく出るし、大豆に限った話でもない。
 インゲンなんかも在来種ではありえます。」
交配の過程のどっかでそういう遺伝子を持ってる。
採種を繰り返している現場ではよくあることらしい。
「タネ屋ではそれをはじいて同じ色が出ないようにそろえるが、どうしたって出てくる。」


【日本の国土がもたらす種の多様性。すばらしいなあ。失いたくないな。】
『秘伝』は関東でも栽培できるのでしょうか。
いま千葉県で試しているらしい。
タネを播く時期を変えなくてはいけない(東北では6月・千葉では7月に)。
えっなんで?
大豆には2種類のタイプある。
夏大豆(早生・わせ)と秋大豆(晩生・おくて)という言い方をする。
夏大豆:万能だが温度が条件の品種が多い
→積算温度(最高最低温度を2で割った数字)で花芽ができる品種
秋大豆:日長時間が関係する品種
→お日様の時間が短くなってこないとできない品種。
たとえば秋大豆を4月にまいても8月にならないと花芽がつかない。
「中間種っていうのもありますけどね。
 うちのタネは秋大豆が多いです。」

日本列島は南北に伸びていて、たとえば沖縄と北海道ではまるで気候が違う。
さらに日本海側と太平洋側でも日長時間や温度が違ってくる。
夏は太平洋側の方が日長が短く温度が低い。逆に冬は日本海側の温度の方が低くなる。

「そうやって南北だけではなく、様々な日本の国土の要素があって枝豆・大豆の多様性も生まれたんです。」
日本の国土すげーー。


このようなことを教えてくれるタネ屋さんが生命力みなぎる品種『秘伝豆』を作ったのでした。
納得でしょう?
しかも今回お話を伺った高橋さんはなんと秘伝豆の袋のデザインもされた方なのでした。



●在来種を探して青森県: 板柳町 の 毛豆

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車を運転中に窓から手を伸ばせばリンゴがつかめそうな道もある板柳町。
リンゴの誘惑。
いやいや、毛豆よ~。

目的の畑に導いてくれたのは『青森・毛豆研究会』の方々と、長内農園のしょうご君(若い!)。

黄金の産毛を持つ『毛豆』の姿。拝みたくなる。


毛豆の撮影に夢中になっていたらしょうご君が
「毛豆、こんなに写真撮ってもらってよかったなあ。」

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毛豆の起源はまだぜんぜん手がかりもないけど、
「昔からずっと進化してませんけど、なにか?」
と語りかけてくるたたずまいがある。
それだけ毛皮を着ていれば寒くないですかね?

長内農園では毛豆も米も化学肥料は使わないという。
ねずみなどは炭などを撒いて防ぐ。

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岩木山に見守られながら、野性的な姿をとどめながら守られてきた在来種の毛豆。
どんな味がするんだろう。

居酒屋で毛豆をいただく会をセッティングしてもらえて幸せすぎる!
あ〜〜やっぱり毛豆はおいしかった。
茶豆系だと思う。
見かけによらず味にくせがなくて甘くて誰からも愛されそうな味。
産毛は…雄大な自然が育んだ生命力の証!と表現しておこう。
食べるときに産毛が邪魔するんじゃないかって?
それもまたよし。ぜひ1回食べてみてほしい。

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しょうご君が作った毛豆だけじゃなく、別の毛豆もお店の方が出してくれた。
両方の糖度を計って比べてわずかに負けてしまったしょうご君。
「なんだこれ。
 来年は絶対リベンジするから!」

しょうご君は自分のところ以外の毛豆・枝豆は食べたことがなかったという。
ぼくは毛豆のおいしさの秘密を知りたいだけだったけれど、いまここで一人の若い農業者が地豆のすばらしさに気づき、やる気宣言をしてくれてる。
「うちの豆まだまだこんなもんじゃない。糖度計がぶちこわれるくらいの毛豆を作るぞ。」って。

こっちも毛豆の歌を作る宣言。
しょうご君の毛豆の糖度が5上がったら曲作りのテンションが5上がる!
って言ったら「糖度いくつ上げようかな~」だって。

楽しい縁をもらってることがちょっとずつ自分の宝になっている。
食育も音楽も。自分で見て体験したことしか結局のところ伝えたくないのかもしれなくて、そうして枝豆をめぐる探検はどんどん続く。
「豆の感想言ってくれることがうちの豆の一番の肥料になる。
 そうやって枝豆王子が回れば各地の豆のレベルが上がると思う。」と言ってくれた(涙

青森リンゴの世界でも、とにかく甘みを追求している時代。
でも年配の人は少し酸味のあるリンゴのほうがおいしいっていうらしい。
昔の果物・野菜の味はどうだったのだろう。
日本人は味覚が麻痺してきているのだろうか、なんて話もした。

幻の枝豆・毛豆。
おいしいから絶対に追跡調査したい!



●秋田県 枝豆生産量・日本一を掲げる

秋田の枝豆の入口はいろいろあると思うけど、
品種に興味があったので県庁は種苗振興課を訪ねた。

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秋豆・秋の味。
7月下旬から出荷が始まって、9月に収量がアップしてくるのが秋田の枝豆の特長だ。
品種は現在は市販のタネ『湯上がり娘』や『秘伝豆』などを時期によって使い分けている。
9月はいま開発中のも含めて地場産に由来するものを増やしていくかどうか検討中とのこと。
地場産についてはまた後で書きます。

枝豆業界で秋田県は新勢力となってますね。
「秋田は米どころ。他にも野菜をたくさん作っているが知名度が上がらなかった。
 何が第2の作物になりうるか探している状態だったんです。
 全国のトップクラスになれるものを検討した結果、枝豆に目が向けられたわけです。」
もともとは減反で転作が始まり、大豆にシフトしていたことが大きかったとのこと。
そして予冷庫を各農家に補助する!といった思い切った作戦。
こうやってブランド化って始まるんですね~。
この勢いで「今年は7月に秋田版えだまめサミットも開催した」そうです。

おもしろい話も聞けた。
JA秋田ふるさとでは『アントシアニン豆』だけを詰めて出荷したという事例があるという(今年は不明)。
ああ、マニアックな事例…。
東北の枝豆のなかには10月以降、寒くなってくると”寒さ対策”としてアントシアニンという成分を使って身を守ろうとする者が出てくる。
アントシアニンの色素(紫色)が莢にもでてきてしまう。

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この現象は朝晩に冷え込んだ証だから、昼との寒暖差によって豆の糖度が高くなってる証なのだ(ゆでると緑色に戻るらしい)。
規格外になってしまうこの紫色の枝豆を、事情を知っている人だけに販売しようというもの。
食べてみたい~。

もう1つ心に残った話。
「県外に出て試食販売などで枝豆を出すとしょっぱいと言われるんですよ。」
塩加減…。
「秋田ではもともと塩をたくさん使う文化があって、
 雪国だから冬の食糧を秋の間に塩漬けなどにして蓄えてきた背景があるんですね。」

食文化。
それはこれから秋田で調査するときにとても役立つ知識です!


さて日本一の生産量を目指すためにとられた作戦は”収穫できる時期を長く設定する”こと。
枝豆の品種はそれぞれタネまきする時期が決まっているから、タネまき時期をずらすためには多くの品種を選定しないといけない。
農家さんが売るものがなくて困る時期(端境期)がないようにしたい。
その端境期に収穫できる品種開発を秋田県から任されている秋田農業試験場へ行ってきた。


●秋田県には星の数ほど在来種の枝豆が存在する: 秋田農業試験場

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この試験場が心がけているスタンスは、秋田の在来種を生かしていくこと。
それが”秋田らしさ”につながる。
研究の現場を見学させてもらえた。
地豆を片親にして開発された『あきたさやか』『かおり五葉』は現在秋田の2つの端境期を担っている。
もう端境期は埋まっているのですね。今後の目標は何になるんですか?
「こんどは、いまある品種の強化です。
 味の品質だけでなく、機械に対する莢の強度、秋田で起こりうる病気への耐性までもふくめて。
 完璧な品種なんてありえないのですから。」
病気への耐性ってまさか枝豆に予防接種とか…。
「いたってアナログです(笑。
 わざと排水の悪い(病気の起こりやすい)環境でも育ててみて、病気にならなかった強い樹からタネを採ったりします。
 そして他の品種と比べながらデータを取り、相対的に評価するんですね。」
いや~安心しました。でもそれだけでも年数かかって大変ですよね。

そういえば秋田に在来種の枝豆があるんですか?聞いたことないです。
「遺伝資源収集担当という者がいまして、
 大豆の在来種を調べて回って枝豆としてどうかを調べてデータベース化した人がいます。
 その資料をもとに品種開発が始まるんです。」

わおー!その方にもぜひぜひ話を聞いてみたいです。
というわけでまた秋田の枝豆の奥深いところまで教えてもらえることになりました。
ますますおもしろくなってきた!

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【在来種の名前には手がかりが隠されている】
平成5年から9年くらいまで県内全域を回って大豆・枝豆の在来種のデータとタネを集めたという。
すでにお年寄りが多かったらしい。
「昔、大豆は大切にされた。
 娘を嫁に出すときなどは親が育てていた大豆のタネを持たせたりしながらタネは全国に散らばって混ざっていったと思われます。
 ルーツを聞いても親戚からもらったとかそういう情報しか得られなかったですね。」
大豆の名前に関しても昔からそういわれてたから由来などもわからないという。名前のないものも多数。
「そういえば『あおづる・あおじる』という名前のもありました。
 たぶん豆自体の色が濃いので煮たときにお湯に色がつくのではないかなあ?
 『雪の下』という名前のもあった。
 大豆として収穫する頃には雪が積もってしまっているのでは?
 名前には手がかりが隠されていることが多いです。」


【タネが移動する理由】
自家用に栽培しているひとがほとんどで、厳密に管理されていたわけはない。早生~晩生まで様々。
「親戚から”おいしいまめあるよ”っていうと”ほしいな”って具合に秋田県内に限らずどんどんタネは地域を移動したんです。」
おいしいタネはタネ採りを絶やしたらこの世から消滅してしまうので大事に守られたんですね。


【在来種に外観がいいものはない!?】
実際に交配に使われるのはどんなタイプの在来種ですか?
「交配に関しては予測はするが実際掛け合わせてみないとどうなるかわからない部分が大きいですよね。
 まず最初に親にする大豆の外観を観察し、莢が大きいか付きがよいか枝豆として食べて(外観が悪かったとしても)美味しいかを見る。
 在来種には外観がいいものはほとんどないのです(笑。
 500くらい種類を集めて食味のデータを取ったかな。」
すごい!!
「食べるのは簡単なんだって(笑。
 何人かに食べてもらって点数をつけたり、微妙なところはわからなくなるときもあったがはっきり違いがわかるものもありました。」


【在来種の探し方】
どうやって在来種を探したんですか?
「最初は情報ゼロの状態で、ある集落に入ってまず1軒入る。
 タネを持ってないか聞く。持ってる人がいないか聞く。」
4年間ずっとですか?
「いくのは冬場だけです。家の中でタネを乾かしている時期。
 タネをもらってくる。それを試験場で植えます。」

秋田は在来種の宝庫だったんですね。
そのほとんどが滅亡したかもしれないけど、知ってしまったからには!
あきらめないで探してみたいと思っています。


●5粒入り枝豆を見たことがある?

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今年の夏、秋田県のある農家さんのところで5粒入り枝豆が発見された(写真提供:秋田の森川農園のケンさん)。
その農家さんから写真を入手し、メールでやりとりさせてもらったけど、何が5粒豆を誕生させた要因なのかわからなかった。

雪印種苗の枝豆担当さんによると、

「枝豆・大豆は理論的には1つの莢の中に最大5つの部屋を持つことができる。
 しかし5つのすべての部屋に豆が入ることはほとんどない。
 私は20年以上枝豆に携わっているが見たことがない。」

とのことだった。
見てみたいなあ。
それはもし手に入れることができたなら食べないでタネを採り、翌年に育ててみたい。

今回、5粒豆が出た農家さんは稲刈りの最盛期だったためお会いすることができなかった。
来年も出現するだろうか…。気になる。


一昨年に大仙市のお祭りに枝豆王子を招いてくださった高橋さんと久しぶりにお会いしてうれしいひととき。

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●山形県の内陸で在来種を探す

最上郡のお役所に問い合わせて紹介していただいた3軒の農家さんのところを訪ねてきました。


1・舟形町へ

青黒豆(あおぐろまめ)を栽培している奥山さん

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タネが青くて濃いですね。どんな枝豆でしょうか?
「青黒豆は枝豆としてはね、ほとんど食べない。
 煮豆用として直売所などに出すの。
 翌年にタネまいて余った豆はすべて”打ち豆”にしてしまうのや。」
打ち豆→水で微妙にふやかした豆をハンマーで平べったくつぶして乾燥させておく。
煮物なんかに入れて使う。

豆腐屋で豆腐にしてもらったけどどうしても固まらなかったという。

この豆は先祖代々受け継がれてきたものですか?
「昔に親戚から青豆だって言ってもらったもんで青豆だ青豆だって言ってたんだけども、あるとき大学教授が来て青黒豆だって教えてくれた。
 よく見れば緑が濃いしへそも黒くて納得。その日から青黒豆になった(笑。

花は白くて丈は伸びる。肥料は入れない。ふむふむ。

青黒豆、くるみ豆、秘伝豆、丹波の黒豆のそれぞれ枝豆を用意してくれていた。
写真は青黒豆・くるみ豆(大)

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青黒豆の枝豆の感想:
秘伝豆と食べ比べると味が淡白で甘さが足りなかった(毎年こんなもんだという)。
緑色が濃いぶん緑の香りと、なんというか…豆力が強かった。

「枝豆がどうのこうのって考えたこともなかったからにや。
 ビールのつまみにあればいいなってくらいで。」

こどもは間違いなく甘い豆が好きだと思う。
でも消費者が枝豆にはこんなたくさんの種類があるってことを知ったら、甘いのだけじゃなくこういうのもあるんだという趣向の幅も広がると思う。
もっと豆の味がする枝豆を食べたいというひとも出てくる。
そうなったときに青黒豆も「豆」の味を楽しめる貴重な豆としてファンができるはず。
ぼくの活動の結果、消費者の枝豆の趣向の幅が広がっていくことになればいいと思う。
そこで甘み志向から見放された在来種の枝豆に脚光が当たり始めることを信じている。


2・新庄市へ

くるみ豆を栽培している佐藤さん

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くるみ豆も大豆ですが枝豆として食べることはありますか?
「枝豆の状態でお客さんに提供するということはやっていないです。
 枝豆王子さんに評価してもらおうと思いまして。」
くるみ豆の枝豆と秘伝豆が登場。
責任重大じゃあ。

くるみ豆の感想:
青黒豆と同じく淡白で甘さは足りない。秘伝豆はやっぱり甘い。
くるみという名前の先入観からか、少しいただいただけでおなかに満足感が。

「油分は多めですよ。通常は味噌に使うんです。
 需要があればくるみ豆の味噌を販売することが可能だが、しかしどこに売ったらいいのか模索している状態です。」
佐藤さんは”くるみ味噌”をおにぎりに塗って食べるとおいしいという。
それは絶対おいしい!
味噌も味見させてもらったけどまろやかで深い味がした。

「いままで本当にいろんな種類の枝豆・大豆をやって試してみたんです。
 この辺では豆腐に使うなら『ようのこ豆』を使うのが一番よいという評価が出た。
 きな粉をつくるなら『黒神豆(こくじんまめ)』→地元でも知る人ぞ知る幻の品種。

これ両方とも黒神ですか?違いますよね?
「同じ種類です。不思議なことに1つの樹から同じ割合で緑のと茶のが出る。
 あまり気にしないで両方のタネを播いてる。」
ひえーーこれはまた不思議な大豆に出会った。

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「黒神は炒って粉屋さんに持っていき、ひいてもらうんです。きな粉が完成。
 炒り具合で変わってくる。
 あと牛乳に入れて飲むひとが多いかの。」
きな粉ミルク!そういう農家の方たちの直伝レシピや健康法を伝授しながら販売できたらいいですね!
「自家製の山ぶどうジュースも飲んでみるか?アルコール0の山ぶどうワイン。」
おいしいものがどんどん出てくるーー。

【おいしいものは広まらないともったいない作戦会議!】

”農家さんが昔からこういう食べ方を受け継いできましたよ”っていう方法や、秘伝のレシピ。
これほどインパクトと説得力があるレシピはないじゃないですか(農家さんにとっては当たり前でも)。
調味料は熟成加減だけだったり、シンプルなものも多いと思う。

またそれはどんな場所で育ち、どんな生産者さんが作っているのか。
その情報や思いが加わることでおいしい+価値があるはず。

その土地の素材を思いもよらないアレンジ(組み合わせ)でおいしいメニューにしてしまう 、そんなレストランもある。
それを求めて県外からもお客さんがやってくる。
そういう場所があればいいけど… 、1農家さんのところで眠ったままの”お宝レシピ”もたくさんあるってことよね。
農家さんがそのレシピごと販売できたらそれってきっとニーズあるよね??

「消費者と生産者がうまくつながれば、生産者の意欲はどんどん伸びると思う。」
というひと言がズキンときた。
交流の機会のアイディアを、ぼくも一緒に考えていきたいです。


3・鮭川村へ 神代豆を生産している堀米さん

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山の中腹を切り開いたような一帯に神代豆の枝豆畑は広がっていた。
農家さん以外にひとの気配はなく神代豆の楽園…かと思いきや
「鹿とかイノシシとかが普通にいますよ。」
確かに晴天なのに周りの木立の中は暗くて、そこで獣がこっちを見ているような視線を感じた。
「あと春になると土を起こすときに地質学者のような人が来てなにか探してるんですよ。」
なんと畑の地下に古墳が眠っている可能性があるらしい。
それはもし発見されれば伝説の枝豆(神代豆)になりますよね!
堀米さん「……(きょとん)。」
すいません、ちょっと話を作り上げすぎました。

神代豆はこのあたりで昔から栽培されてきた『あおばた豆』という大豆の、より大きいもの大きいものを選抜して誕生した品種。
莢がゴツゴツとして豆粒も大きいから食べ応えのある枝豆です。

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収穫は9/25~10/16前後。
収穫時期が寒いので莢がアントシアニンの紫色になってきてる。
樹が高いので倒れないような工夫をしながら栽培している。

いただいた神代豆を夜に食べたとき、豆の向こうに浮かんできたのはあの絶景。
山々と神代豆畑のほかに何も見当たらないあの場所だった。
迫力あるごつごつとした莢も東京のスーパーでは見たことのないタイプだった。



●山形県鶴岡市の理化学研究所 を見学

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エダマメ研究会でいつも仲良くさせていただいている及川先生や富田さんたちのところへ。
職場に伺うのは初めてだった。
世界最先端の研究施設で、スポイトまでもが最先端!
理化学研究所恐れ入りました。
一台が数億円という機器類を前にして説明してもらう。
一滴の知識でもいいから吸い取りたーい!


及川先生の部屋は植物科学研究室。
その1つとして”だだちゃ豆の魅力”もここで解明されていく。

おみやげは農家の方々からいただいた7種類の枝豆。
せっかくたくさんの枝豆が揃ってる。
研究室のテーブルの上で枝豆の種類当てクイズが始まった。
なんと7種類のマメ全問正解者が出た!
それは枝豆王子!ではなく…この研究所で、だだちゃ豆の糖分・香味成分などの解析を行っている富田さん。
富田さんの勝因は、食味を記憶するのではなく、枝豆の名前と豆粒の特長との関係に視点をもっていったところだそうです。

枝豆はよく見れば種類ごとに顔が違う(へその部分も見てごらん)。
成分も香りも違う。

今回はおいら出題者だったから富田さんと対決してないけど、今回の全問正解には少々あわてた。
さすがとしか言えない。

及川先生はほとんど正解しなかったが枝豆をたべて満足そうな笑顔を浮かべていた(笑

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関東へ

●在来種を探して埼玉県1・秩父 借金なし

枝豆には収穫する機械に向くのと向かない種類がある。
全国的に昭和20年代くらいに農業の機械化が本格化した。
機械に向かない多くの種類は滅びていくことになった。

機械に向かない品種たち↓
1・莢が弱く裂けやすい(枝豆は大豆と違って莢ごと商品になる)
2・地面すれすれにも豆が生る(機械がすくいとれない豆たちが畑に置き去り…)

埼玉県秩父市の『借金なし』の場合は地面の近いところにかなり莢がつく。
ある程度営利的な栽培をしていくとなると他の枝豆とは勝負にならない。
そういうなかで”秩父ならではの借金なし”ってことで付加価値をつけて売ろうと、いま復活を遂げたところ。
「しかしやはり昔の品種であることは確かなんです。」と秩父農林振興センターのながしまさん。
一般の枝豆と比べると見分けがつきやすいですよね。
莢が小さくて『ベビーエダマメ』って感じ!
「このあたりでは白光(はっこう)という大豆が昔から栽培されています。
 白光は収量性が高いし、現在まで残った理由が改めてわかりますね(笑。」

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それでは『借金なし』のマメ知識
・借金なしは「借金がない」という意味ではない?
『なし』は秩父地方の方言で『なす』ともいうが「返す」という意味になる。
この豆を栽培すれば借金を返せるという言い伝えがあるのじゃ。
・どっちかといえば大豆用品種だけど、枝豆としても甘くておいしい
枝豆収穫期は9月末〜10月あたま。

秩父にはまだまだたくさんの在来大豆が保存されている。
『借金なし』だけが1軍に昇格した。
選ばれなかった在来種たちはいつか出番が訪れるときのために農林総合研究センターという施設で栽培されタネが保存されている。
案内してくれた。

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こんな多様な種類が保存されてる!(ドキドキ)
食べ比べさせてもらえるんですか??

それぞれ個性があってよい味だった。
けどやっぱり『借金なし』は甘い枝豆だとハッキリわかる。
あとはこのユニークなネーミングの勝利か。


続いて『借金なし』の生産者さんを紹介していただいた。

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「ここらへんは山一帯がすべて桑園だった。養蚕を飼うための桑。
 いまは桑のジャングルになっちゃって、土地改良事業ってことで開墾されたの。」

復活する在来種の栽培ってどういうきっかけで始まるのだろう??
借金なしはいつからですか?
「今年で3年目。火付け役は知事さんかなあ。」

どうやらこういうことだ↓
政財界のひとを集めて開かれた4年前の賀詞交換会っていう席で、埼玉県知事が
「埼玉県にはこういう珍しい名前の大豆がある」と借金なしを紹介「この大豆で不景気を吹き飛ばそう」と↓
それがメディアなどで取り上げられて、じゃあ借金なしはどこにいけばあるんだってことになり↓
それがちょうどこの畑で何を作ろうかなあというタイミングだった。

栽培は広がっていったんですね?
「いまうちの借金なしのほとんどが味噌用になってます。
 農作物っていうのは作っても売れなければものにならないじゃないですか。
 ほしいっていうひとがあったんですよ。けっこう。」
味噌メーカーは1工程で大豆2トンとかで大量にやるらしいです。
最低でも1工程分はほしいって話になり(最低ロットっていう単位)、それを借金なしの大豆でやりたいと。
こだわりをもった味噌屋さんですね。
え、えだまめは…?
「オーナー制を利用してもらって枝豆の収穫イベントをやっていますよ。
 この地区で『龍勢(りゅうせい)』っていうロケットのお祭りがあるんですよ。
 その日に枝豆を収穫してもらって、なおかつ龍勢ロケットを見ていただこうってことで合わせてやってる。」
手作りロケット。
ロケット花火の大型版。発射台とロケット30台ほど作って空に打ちあげるそうだ。
枝豆とロケットのセットいいですね〜。
「あと大豆を収穫した後はここに麦をまくんですよ。
 ビール麦っていうのを。
 それを使ったウィスキーが発売されたんです。」

秩父から生まれた初めてのウィスキー。
なんだか1年中楽しみがありますね!
「でもね。やっぱりこれは農業の宿命ってゆうんか、花の咲いた時期にちょうどお湿りがないだとか異常な熱さで…。
 なかなかこればっかりはね。」
これは秋大豆を生産する方たちの共通の悩みなんですね。

タネはやはり大きいものを選抜していくんですか?
「うちは中くらいのかな。
 まずタネを選別機にかけるんですよ。」
そんな機械があるんですね。
大中小だとか、大豆にした場合汚れや紫斑病があるだとか、色を区別する機械にも同時にかけるという。
「たとえば大豆の中にもしかしたら黒豆とか入ってる恐れがあるんですよ。」
ええっ?ここでも色素の話が…。
「わからないけどなぜか黒いのが出るんですよ。20kgにいく粒か。」
借金なしじゃなくて借金黒ですね。
「借金返して黒字になるほうがいいかね!」
規格外にしてしまうのはもったいないかもしれませんね。

地域にあるものを楽しいアイディアで広げていくことができたら、やりがいが出てくるのだろうなあ。
多少収量が落ちても、味が良いものを追求したいと話していたのが印象的だった。



●在来種を探して埼玉県・2 行田市 行田在来(ぎょうだざいらい)

コンパクトな樹で、葉の形が長いのが特長(これはめずらしい)。

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『行田在来』は豆腐や枝豆として出荷されている。
枝豆は10月の上〜中旬に県内の大きなスーパーに行くと発見できる。


埼玉県内には他にも復活を遂げた在来種がいくつかある。
江戸時代くらいに栽培されていた記録があるこれらの枝豆・大豆は、いつしか栽培が途絶えてしまうが、
一部のタネは行政の農業機関で保存されていていたんだ。
復活したきっかけ・タイミングはそれぞれ『借金なし』と同じような背景があるみたい。

在来種が見直されてきているのかもしれない。
復活ブームで終わらせないように、大切にされる存在でいてほしいと願ってる♪




●在来種を探して埼玉県・3 飯能市野口種苗

全国で唯一、在来種のみを扱うタネ屋さんが埼玉県にある。野口種苗さん
枝豆のタネはまだ採れない時期だけど、埼玉の在来種の話を伺ってみたかった。

「借金なしにしても行田在来にしても去年まではうちでタネを販売してました。今年は入ってこなかった。
 急に新聞に載ったりして需要が増えたから。
 うちに卸す分量がなくなっちゃったみたいね。」
在来種の魅力を地道に普及されている野口さんは複雑そうな表情。


枝豆の種類の数を調べているんですけど手がかりは…?
「種類は無限に増えていると同時に無限に減っています。」
たとえば東北の豆をひとつ関東にもってきて播いて3年ほどタネ採りを繰り返す。
するとどんどんこっちの地域に合わせて生育状況が変わっていく。収穫できる時期さえも変わってくる。
そして新しい名前がつく。1つの種類が誕生です。
「そのタネ採りをやめればその種類はそこで絶えちゃいます。」

いまこの瞬間にもどこかで滅びていく在来種がきっとありますよね。
「在来種はだいたいよそから入ってきて、これはうまいからっていうんで作られてきたものですよね。
 収量が問題じゃなかった。味が問題だった。」
ある時期から収量が問題になってきて、収量が多いものの方がお金になるってなっていく。
そういうものにみんな席巻されてきたという。
「農業として成り立つにためはとにかく収量が多くなきゃお金になんなくちゃだめなんです。」
そのとおりです。。

「北海道が日本中の大豆の産地になったから、みんな北海道の大豆に負けちゃったわけですよ。」
ずばっとした表現ですね。
要するに豆っていうのは温度が高いと受粉しないということで。
豆は北海道が一番作りやすい。
それで北海道が豆を集約することになった。
そこで作ったタネが日本中に広がっていったとのこと。
「本州では、たまたま土着できたものだけが残ってるんです。」

ぼくはほとんどうなずくばかり。
そして話はTPPへ。

「TPPに参加したら在来種は全部なくなるかもしれない。」
!?そんな項目ありましたっけ!?
「参加国をまとめて1つの経済圏にするためには勝手な品種が勝手に流通してはまずいんです。」
同じ規格のものを全体で同じ金額で流通させないといけない。
だからタネを採って栽培することが禁止される恐れがあるということです。
「アメリカではそういう法案が可決されたばかりです。
 日本もそれが必要と認めたらそうなる。」
野口さんのところには外国から訪ねてくるひとも多い。
世界中の農業の情報が入るからこそ警鐘を鳴らしているのだ。
作物にとって自由貿易・経済効率は何を意味するのだろうか。

「決められた野菜で決められたタネしかたぶん我々は播けないし、それでできたものしか食べれない。
 そういう国をたくさん知ってます。」
…日本の農家さんでさえ、知らないことだと思います。

そういう社会が来たら困るから、野口さんはいま流通しているうちに生き残っている在来種のタネを集めて日本中にばらまいてる。
そうすれば、方法が間違いだったと社会的に世界的にわかったときに、そのタネを誰かが持っていて復活することができるという。
生きてるタネさえ残っていれば。
「それが残ってないと、もうUターンできない。人類は滅亡するだけだ。」

在来種、ますます守りたくなってきた。
勉強するべきことも増えた。


こんな珍しい書物も見せてくれた。
(明治39年の野菜のカタログを拝見)
そのころ例えばどういう枝豆・大豆が日本で流通していたのかがわかる。

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このころにはもう早生(わせ)という言葉があった!

「早く採ったものの方が売れるから、早く採れるものを作るんだという農家さんがいたでしょうね。」
大豆は晩生であればあるほど味がいいといわれる。収量も多いという。。
自分で食べたり自分のうちで味噌作ったりするのであれば味が良くて収量も多い晩生ばっかりが選ばれていく。
「早生っていうのは自分で食べることより人に売ってお金にするためのもの。万能性があるということです。」
大豆は本来は晩生だから日が短くならないと花が咲かない。
そのなかから少しでも早く採れてタネになるようなものを選んでいくのがタネにするための農業のやり方で、タネ屋さんや農業試験場が育種するというわけなのであります。

一週間後、野口さんの著書『タネが危ない』を読んだ。
うーん、何て書いたらよいのか…。
本の感想になってないかもしれないけど↓

自然の摂理に従って作るのが”在来種”の野菜。
さっき近所のスーパーに行ってみたけど在来種はまったく見かけなかった。
滅びても誰も困らない。
でも在来種さんは”タネはいのちである”ということをぼくらに教えてくれる大事な先生なんだと思う。

このことにぼくらが関心を失ってしまえば”タネが危ない”というより”ぼくらのいのちが危ない”のではないかなあ?
ぼくらの細胞1つ1つが悲鳴をあげ始める気がする。

在来種のようなタネが滅びてしまいませんように。



●在来種を探して神奈川県・ 津久井在来

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『津久井在来大豆』の生産者・島村さんを訪れる。
いきなり質問される。
「全国の枝豆を見て回ってこれと同じもの見たことあります?」
え、えっと…まず見た瞬間ですね、莢のうぶ毛がタンポポの綿毛みたいに真っ白なのが特長だなあと。
いままで見たなかでダントツで白いです!

比較的タンパク質は少ないが糖質が多いということで、枝豆としてはもちろん煮豆や味噌なんかに向いてるらしい。
地面すれすれに実がついてるので刈りにくそうですね。
「まあうちは機械を使わないからいいんだけど、
 台風で樹が倒れかかったようなときに土寄せがなかなかできない。」

津久井在来を始めたきっかけはなんですか?
「とにかく味がいいと思って始めました。」
そしてこの辺りも合併で津久井という名前がなくなり、津久井を残していきたいなという思いも重なったという。

他の豆を試そうとは思わなかったんですか?
「だって地元にこんないい豆があるんだから。」
津久井愛ですね!
「だとしたら5年前に就農したのがきっかけですね。」

IMG_7886津久井

ブログを拝見して、
”化学肥料も農薬も使わないで育てるってことが昔ながらの在来種を保存するってことなんだ”
という思いにしびれて今日伺いました。
「最初の年の収量は虫に食われて選別したら半分以下になりましたよ。
 それがだんだん収量が増えてきてる。
 そのタネを残していくことで確実に強くなってる。
 虫がつくのは土なりタネなりに問題があるので、
 だから我慢してずっと選抜を続けていけば薬なんか使わなくったってうまくいくようになると実感してます。
 まだ量はそんなに多くないし枝豆として販売するのも量はわずかですけどね。」

やっぱり。ものすごいこだわりですね。
「その土地とその季節に合ってできるものが本当の旬なんです。
 病気を治すものは食べ物、病気を作るものも食べ物。
 安全な食べ物の価値をわかってほしい。」

野菜が自由に育ってますね。
「うちには野菜の規格とかないんで(笑。
 お客さんもきゅうりが曲がっていようが”いいいいいよ”って気遣ってくれるから本当に助かまります。」

”野菜の生命力”っていう新しい表示方法や視点があったらいいなと思ったりした。
減農薬や有機のマークだけではなく。
生命力は数値に出せないけど、野菜を瓶に入れて腐るまで放置して比べると違いがわかりやすいと教えてくれた。
自然栽培のものは見た目は腐ったように見えても腐ってるんじゃくて枯れて発酵してるんでいいにおいがするんだとか!



●在来種を探して千葉県1・ 鴨川市 鴨川七里(かもがわしちり)

11月にいただける幻の枝豆があるんです。冷凍じゃないっす。
『鴨川七里』
商品パッケージも”もみじ”になってる!

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11月に収穫しようって誰が決めたんですか?
「いえ、もっと早い時期から収穫ができるよう県の研究圃場のほうで研究中です。
 いまはまだ2週間くらいしか味わえる時期がないので。」
もみじの時期を狙ったというわけではなく、
結実の時期はこの地域に土着した枝豆自身が決めたことなのだ!

それを人間によって収穫時期を変えることは容易なのだろうか?
「鴨川七里っていう種類の中にも、そのなかで若干違う種類が20種類以上あります。
 1種類じゃないんです。
 いまそれを選抜して七里の中でも早いもの、中間、晩生のものというふうに最終的には時期ごとにその3つを主系統として、
 まだ試験圃場のほうで選抜しているような段階です。」

七里っていい名前ですね(何メートルかわかりませんが)。
「ええ。ゆでたり炒ったりすると香りが七里先まで広がるという言い伝えを元につけられました。」

知名度も広がっていますか?
「オーナー制度を実施中で、今年は400名が参加しました。
 商工会議所のHPで生育の経過を報告しながら、参加者のほとんどは収穫だけ訪れます。」
農協の直売所や都内の伊勢丹にも卸しているという。

10月中旬から11月上旬にかけて鴨川市の宿泊施設に泊まると無料で『鴨川七里』摘み放題ができるらしい。
※必ず施設に確認してからご予約ください。


●在来種を探して千葉県2 君津市 小糸在来(こいとざいらい)

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『小糸在来』
オーナー制の畑が、とにかくでかい。
在来大豆をここまで繁栄させるまですごく苦労されただろうなあ。

農家さんの話を伺うことはできなかったけど豆ストーリーを今度追ってみたいです




はー!
1つのミッション完了。
もう引くに引けないところまで来ましたな。使命であります。

ぼくにミッションを与えてるあなたはいったい誰なんですかー!?










2012.01
24
9月のミッション:枝豆にとって北海道とは何か??

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●エダマメサミットに出席

帯広駅近くでリスの道路標識。なぜか心踊る

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北海道ホテルで盛大に開催された『エダマメサミットin十勝』にはエダマメ関係の方々360名が参加した(リスではなく人間よ)。
いま北海道の枝豆の舞台では何が起こってるのか!?知りたい。

北海道の枝豆生産量は都道府県別でBEST5に入る。
そして北海道の枝豆=十勝の枝豆と言ってもいい(十勝が8割以上を占める)。
たった5、6年という短期間で十勝に枝豆の大産地が誕生した…それは豊かな土壌と生産者さんたちの熱い思い。
でもそれだけでは説明にならない。
枝豆のタネに関する研究者たちや加工業者たちも含めたネットワークの力が結集していた。
中札内村のJA、芽室町のJA、十勝農業試験場、雪印種苗株式会社を中心に。

海外に枝豆を輸出する秘訣や課題も、十勝の方たちは何でも情報公開して教えてくれた(内容はのちほど)。

一方で十勝の枝豆に足りないのは枝豆文化だ。
新潟や山形のような”食卓に大盛り枝豆あったりまえ”というような文化はまだない。
地域の方たちの暮らしのなかに枝豆が根付いてほしいという願いがあるそうだ。

この願いに対してサミットで講演された林美香子先生からはアイディアが次々と提案された。

「枝豆を贈ると幸せになれる枝豆の日を設定しちゃう(バレンタインデーのような)」とか。
うん。やった者勝ちですよねー。
他にも「会場の皆様に配布されたウェルカム枝豆、容器にカラ(莢)を分別できる機能があればいいのにな」とか。
なるほど~。
先生のアイディア集を全部メモりました。大切に持ち帰ります。
話に吸い込まれていたら、おいらの発想力も一気に宇宙まで広がっていく…。
そして「全国の枝豆に詳しい枝豆王子というひとがいるらしいので連携してPRしてみては」と嬉しいひとことも!

地元が持っているすばらしさ・宝に気づいていくことが大切ですね。
林先生曰く、その宝を生かして地域づくりをしていく。
そのときにたとえばいままで農業ががんばるぞっていうと本当に農家の方々だけががんばっていることが多かった。
そこに住んでいる人たち・消費者の方たち、関連する仕事の人たちみんなが手をつないで連携していかなければ地域は豊かにならない。
「もっと暮らしの中に枝豆を」
外部に売りながらも地元でも楽しみ利用し、暮らしの中に取り入れていくという視点。
たとえば枝豆生産者だけではなく、消費する側の私たちも地域づくりをしていくという気持ち、買って支えていくという気持ちが大切…。


その後、会場はそのまま交流会に変身した。
余興係は…。
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●エダマメ研究会に出席

サミットの翌日は枝豆の未来に必要な研究発表会

北海道では様々な種類の大豆が栽培されている(北海道の大豆栽培の歴史は深い)。
どんな大豆が枝豆に向いてる?
豆腐に向いてる?納豆に向いてる?

大豆にはそれぞれに得意技があるからそれを生かす。
たとえば豆腐に向いてる大豆は →タンパク質が多いタイプの大豆 →固まりやすい
枝豆に向いてる大豆っていうと →糖やアミノ酸を多く持つものとか →甘い
小技まで説明するときりがないからskip(農水省・大豆の特性一覧)

今日おもしろかったのは、
「食べたときにやわらかいもの(歯ごたえ)を枝豆の品種にセレクトした歴史がひょっとしたらあるかもしれない」
という仮説。
枝豆らしい大豆とは何か??
大豆の硬さの要因をデータを取りながら解明し、未来に生かしたいという研究者の方の話だった。


ナマのままでは食べれないというのが枝豆・大豆の特性。
自然界で敵から身を守るために『リポキシゲナーゼ』という酵素を”毒”として持っているのだ(加熱すればok)。
加熱するとき、豆にいろんな変化が起こる。
ナマのままだと苦い。
それがわずか数十秒ゆでるだけでそれが消え去る。
当然そこで化学物質の変化が起こってるわけですね。
その変化を突きとめる挑戦もこれからの議題の1つになるそうです。

他にも北海道で生まれた亜鉛大豆の話。
『亜鉛枝豆』なんてのも登場しそうですね。
枝豆業界の新しい風になるかもしれません。

これは!難解な記号も登場。
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●これが年間3000トンを収穫する中札内(なかさつない)村の枝豆畑ーー!

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北海道の農業おそるべし。
いままで見てきたのと感覚が違いすぎる。
ひと株ごとに手間をかけて…なんてことはやってられません!という世界。
1台5000万円前後の収穫機が枝豆をもぎとっていくーーーー。
22ヘクタールの枝豆の海をドライブすることができた!
マシンが畑を1往復した。 → 一生かかってもとても食べきれないほどの枝豆を採ってしまった。
これをいまの時期、3台の収穫機で24時間態勢で収穫している。

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収穫してきた枝豆を受けとるトラックの荷台に寝転がってみたかった。
ざざざーっと枝豆を浴びながら埋もれていきたかった。

トラックの荷台に移動した枝豆はどこに行くかというと↓
加工工場に入り → 液体窒素によって瞬間冷凍され → 冷凍枝豆となる。

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冷凍にするからすぐに売る必要はない。
だから農家さんは一気にタネを播いて一気に収穫すればいい(農家さんごとにタネまき日をずらす)。

ライバルはものすごく安値で入ってくる中国・台湾産の冷凍枝豆ってことになり、価格を低くしないと勝負できない。
莢を手でもいで出荷する農家さんがこの現場を見たら腰を抜かすと思う。
本州の青果物としての枝豆とは売値の次元も違う。キロあたり180円の世界だとか?

小さめの莢、どちらかというと歯ごたえのある枝豆。
甘くておいしかった。

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その甘さを一瞬で閉じ込めてしまうのが液体窒素のマシン。冷凍あなどれない。


●枝豆生産の組合長・山本さんとの対談

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写真の大豆は左から『たまふくら』『いわい黒』『大袖の舞』

ーー枝豆に『大袖の舞』という大豆を選んだ理由はなんですか?
「お客さんに人気があって、誰からも好かれる優秀な品種だった。
 豆腐や味噌にしてもおいしい。
 でももっとおいし~っていう品種があればうちはいつでも乗り換えるよ。
 これで完璧って納得することは一生ないと思ってる。」

ーー高価な収穫機の導入を決断するのにどれくらいの期間悩みましたか?
「フランスの製造しているメーカーに農家の代表と職員の代表が行って見てきて運転させてもらって、
 ”グリンピース収穫用の機械だけども、枝豆で十分使える”との報告。”よしOK!”
 5200万円すぐ発注ね。
 こっちきて組み立てるわけじゃなくあのまま苫小牧の港に来てあのまま陸送されてきた。
 加工工場を建てるのもセットで計画。」

ーー収穫機1台でマイホーム1軒建ちますね。発注するときに胃が痛くなったり?
「ぜんぜん。
 十勝では小さな機械でやってたら農業にならない。
 枝豆を収穫する大型の収穫機がないかずっと探してた。」

ーー枝豆を海外に売る秘訣は?
「問題は枝豆を売るのが大変。
 海外にも目を向けた。
 ロシア、ドバイ、シンガポール、韓国、香港。
 船便だけど、ドバイからの発注は特別で航空便。
 さすが。ドバイでは187円の枝豆が600円で売られてる。
 ロシアは小樽の港から。
 やっぱり現地に行かなきゃダメ。枝豆を持ってね。
 ドバイに行ったときなんか日本の農産関係の方々が集まって、
 イチゴやリンゴ…壇上の上に並べられいてバイヤーさん150人くらい集まって、
 通訳を交えていろいろ聞いてくる。
 私が試食コーナーを設けて”日本の枝豆!”ってしゃべってると
 ”おー、この鮮やかな美しい色が天然のまま?!ホントに?これはすごい。すぐ送るように”って。
 だから、行かなきゃダメ。食べてもらわなきゃダメ。」

ーーほかに山本さんが選んだ北海道の大豆は?
「『たまふくら』。白くて大きい品種。
 北海道では函館あたりでないと作れない品種だったけど十勝で早播きしてみたらけっこう採れた。
 それを豆腐にしてここ(農協)で売ってる。
 水に一晩つけるとボンボンにふくらむ。
 これをすりこ木でつぶす。
 みそ汁に入れる。呉汁。
 最高。
 もう1つは『いわい黒』という黒大豆ね。」


ーー地元でも枝豆の普及を?
「少年野球チームの大会『枝豆杯』が始まりました。
 優勝旗が枝豆のデザインで、よくできてるんですよ。
 試食ブースを3会場に設置し食べ放題1000人で600kgの枝豆が出た。枝豆コロッケも1000個!
 皆さんに枝豆を盛り上げていただきたいですね。」


枝豆のデザイン!?見ないわけにはいかない。
早速、優勝旗がある小学校まで行ってきた。

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これほしいです!と言ったら教頭先生に警戒されてしまった(笑



●枝豆のタネはMade in Japan

雪印種苗・農業研究所がある長沼町へ

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伝統あるタネ屋さんです。
エダマメ研究会でいつもお世話になっている近江さん、そして育種担当の大橋さんにいろいろ教えていただきました。
「こんな枝豆があったらいいのにな」その声に応えるために、執念・プライドを持ったこういう方たちが日本の枝豆舞台を支えているんだなって、嬉しくなった。

畑を区切って何種類もの作物をここで栽培し、データを取りながら試験研究していく。
最後にはタネにして販売していく。
その大元になる研究する施設がここ。
土に対してこういう草を使うと土がよくなっていくなどの研究も行っている。

ここに来るまでは、枝豆のタネの向こう側について調べてもなかなか見つからなかった。
もしかして機密事項かと思ってた!
→地下の研究室でDNAを分解したり?機械でガシャンとカラをかぶせてタネを組み立てたり?。

ぜんぜん違った!! 知らなかったー。

今日わかったこと。
当たり前だけど、枝豆・大豆のタネも”人の手で育っている(育てられている)”ということ。

それでは雪印種苗さんの枝豆のタネができるまで・まとめ↓↓

ここはでっかい空の下。夏の長沼町です。
まず枝豆畑のなかにイスを置いて座り、風が止まるのを待つ(笑

風が止んだ

研究者が顔を地面すれすれに近づけて何かやってます。
花粉を採取して、別の枝豆の花に受粉させたり…。
枝豆の花は5mmもない(米粒に絵を描くような作業では?)

この『交配』という作業によって2種類の枝豆が両親になり、新しい子たち(タネ)が冬になったらできる。

翌年の春にその子たちを播く(第1世代のタネのことをF1品種と呼ぶ)。

夏になって枝豆がなりはじめる(1年目は生育がバラバラである)

生育バラバラの枝豆から優れた枝豆を選んで印を付ける。
→”優れた”というのは味だけではなく、豆の大きさ・莢の数・生産しやすい樹の形かどうか・目標の時期に収穫できるかなど。
→1莢に3粒の豆が入っているのが理想的。

その印を付けた枝豆が枯れたらまたタネを採る(それが第2世代のタネ)

この作業を毎年繰り返して「これだ!」という枝豆が誕生する。
やったー!デビューか?
いいえ、デビューまであと7年くらいかかります(泣

とにかく偉大な親を超えなければ意味がない。
超えるのは奇跡のように思える。
だからといって目的を持ってきちんとやらないと、あてずっぽうではとてもやれる仕事ではない。

「これだ!」というタネを翌年の春に播いて冬に採種し、タネを増やしていく。

同じ樹から生まれたタネたちはまったく同じDNAを持つはずだ。
でも育ててみるとどうしても周りと違う…変わり者が出てきてしまう。
(樹の高さや莢のカタチが違ったり)
これではタネを購入した農家さんが困ってしまう。
変わり者を抜いて生育を揃えてからまた翌年にタネを播く。

変わり者はだんだん減ってくるが、なくなることはない。
変わり者を抜いてまた翌年にタネを播く。毎年繰り返す。

10年が経ち、第10世代くらいになるとやっとどのタネを播いても生育が揃ってくるようになる。
タネの量も増えた。

タネたちは初めて研究所の畑を出る。
なんとタネ採り専用の契約農家さんが存在する。
その畑でタネを生産し、2年の試作期間を経て種苗会社がタネを買い取る。
土壇場でたとえばある病気に弱いことが判明したりすれば中止あるいは解決されるまで延期ということもありえる。

ついにokが出る!
でもこれだけ大量にタネを生産してるとまだ変わり者が少し出てる。
最後の仕上げじゃーー。
広大な畑に入り農家さんだけではなく、社員さんから普段はタネの営業の担当さん達も参加しての応援部隊が加わり、変わり者を抜き尽くす。

いままで記号で呼ばれていたタネに名前が付けられ、営業が始まり、デビューへの準備が始まる。

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いまは何でも効率重視の時代。
なのに枝豆の育種は自然の中で手間をかけて行われていた。
1年に1回しかタネが採れないというのに。
”毎年同じものを変わらないように”農家さんに供給するために手間をかけている。

近江さんが”枝豆の変わり者”を抜いていく作業(最後の仕上げ)の話をしてくれたとき。
誇らしげで楽しそうな顔が忘れられない。

「畑に太陽の光が差したらチャンスです。
 サヤの産毛の輝きが少し遠くからでも、あれ色つやが少し違うよねってわかってくる。
 一回見つけちゃうとそのあとは感覚で作業できるようになるんです。」

問題は丘のようにうねうねしてる北海道特有の畑。
作業しながら坂を上ったり下ったりしながら…この大変さはやってみないとわからないという。

枝豆は北海道にとってどういう存在ですか?
「他の大手種苗会社も同じように北海道に研究農場を持つ傾向です。
 北海道という大地がなかったら枝豆はここまではできなかったでしょうね。」
気候がいいんですか?
「そうですね。
 秋の気温が下がってくるとタネがどんどん充実していけるってことと、気温が高いとどうしても虫が出たり病気が付きやすい。
 関東や東北に比べると雨が少ない。台風も少なく安定してます。
 タネとしては腐ったりカビが生えたりしずらいので環境面でもいい。」
他にも農家さんに若手の後継者が多いことなどもタネ採り契約をする上で重要だという。

未来にはどんな品種が誕生するんでしょう?
「砂漠で作れる大豆はないか?って考えたりもしますね。
 決して不可能じゃないし材料はないわけではないけれど…。」
もしすごい思いつきがあっても、国から研究費をもらうところから始めないと実現しないという。
研究費は湯水のごとくは使えないということですね。

雪印種苗さんの枝豆で記念すべき第1号は?
「昭和49年に発表したサッポロミドリです。
 交配して作り上げた第1号。」

それ以前から十勝試験場や長沼にも中央試験場などがあった。
当時そこで育種されてきた豆のなかで、早生で比較的サヤが大きくて食べてもおいしそうなものが素材としていくつかあった。
それらの組み合わせから民間育種が始まった。

サッポロミドリっていまでも販売してますよね?
「不思議なんです。
 サッポロミドリのあとも様々な品種が生まれてきたのに、もうサッポロミドリは使わなくていいね!とはならなくて、逆に再評価されちゃう。」

もちろん欠点がまったくないわけじゃないという。
肥料を上げすぎると樹が伸びすぎるとか、早く播きすぎると付きがよくないとか。
改良すべき点を解決した品種を出しても結局サッポロミドリのほうがトータル的に安心して使えるよねってなっちゃうらしいのだ。


枝豆のタネは人が手作業で育種し、しかも日本で生産していた。
もう1つの方法として、タネにガンマ線を照射することでわざと生育バラバラのマメを生み出し、交配の手間を省く方法も昔から行われているけど、優れたマメを選んでからあとは同じ手作業になる。

野菜の”いのち”をいただく。
それは勉強するようになってから意識するようになった。
牛も豚も鶏も卵だって、そのいのちをだれかが食べものに変換してスーパーまで運んでくれている。
野菜もバイオテクノロジー技術による効率化が進んでいる。
それはありがたいことなのだろう。それでも、なんだかそれは、少しコワイことのような気がしてみんな見ないようにしているような。
そのことが「生き物」や「いのち」への関心をなくしてしまっているように思える。

だから今日は少し安心した。
これが枝豆界を代表する大手種苗会社さんの生産現場なのだから。
(明日はわからないけれど。)

近江さん、大橋さんに出会えたことで、これまで枝豆育種に励んでこられた先人の方々のことを思う。感謝です。



●『音更大袖振』を探して音更町

『音更大袖振』
中札内の枝豆品種である『大袖の舞』の親で、北海道を代表する大豆の1つでやんす。
枝豆として食べたらどうだろう?

音更町の直売所の朝市に行けば農家さんに会えると思って行ってみた。

そこである農家さんが青大豆の枝豆(100円)を売っていたので購入したらトマトもくれた。
それが佐藤さんとの出会い。
思い切ってこの枝豆が育ってる畑の風景が見たいと言ってみたらご自宅の畑まで連れて行ってくれた。
音更大袖振の農家さんの畑にも連れて行ってくれるという!

大袖振は残念ながら今年から小豆畑やビート畑に変わってしまっていた。
でもおかげで1つ北海道の謎がとけた。
いたるところで見る見慣れない菜っ葉はなんだ?と思ってたら、食べる部分は土の下らしかった(汗
掘って見せてくれた。
砂糖の原料・ビートだという(これが砂糖に?)。
十勝では常識!
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黒豆(ひかり黒大豆)と青大豆(品種は不明・本州から来た)のタネをくれた。
赤いマメは大正金時といういんげん豆。

コピー (1) ~ P1030743 P1030750.jpg


黒豆なのに4粒入り多し。
黒豆畑のど真ん中に観賞用の大きな花が無理矢理咲いていた。なんですか?
こういうの「ひとり生え」というらしい。
「かわいそうだから残しておいた」って、優しいです。




音更大袖振を探そう!あきらめない。
こんどはJAへいこう。

コピー (1) ~ P1040222 コピー (1) ~ IMG_8983

農場を見学させてもらえることになった。

音更大袖振はうぶ毛の毛並みがよくて寒さ対策は万全?

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昭和25年頃から誕生していたらしい。
たんぱく質が豊富で加工品によく使われる。
ラインナップいろいろあります。



●まとめ

北海道の暮らしのなかに枝豆の文化というのはないかもしれない。
でも枝豆のタネを生産する大手のタネ屋さんのほとんどが北海道に集約されていることがわかった。
もし北海道がなかったら、日本人にとって枝豆はこんなに身近なものにはならなかった。
タネ屋さんは海外でのタネ生産も検討してきたが、北海道で作る品質よりいいものは作れないとおっしゃっていた。

日本の枝豆、北海道の枝豆、世界に羽ばたこう。

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