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ハロ-!エブリマメ 枝豆王子が行く

枝豆はおいしい!そして楽しい えだまめを家族団らんの象徴に

      
プロフィール

◆児島啓介[枝豆王子]◆

Author:◆児島啓介[枝豆王子]◆
作詞、作曲、歌、ギター、ほら貝

日本で唯一の枝豆研究家

歌う食育インストラクター

●食育の出前授業
『枝豆王子のいただきますワンダーランド劇場』
を主に小学校で行う(2007~2015現在)

●その他、お仕事承ります!!
食育イベントの盛り上げ係、
講演依頼、音楽ライブ、
枝豆の種まき、
レシピ実演など


O型 東京都出身 在住
青春出版社より『いつだって枝豆!(書籍)』を発売中


連絡先はメールフォームからお願いします
→ プロフィールの上にあります

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2012.01
24
10月のミッション:東北~関東の幻の枝豆を探せ

P1040845.jpg青森の毛豆
コピー (1) ~ kesenn1気仙沼茶豆
コピー (1) ~ tukui5津久井在来
コピー (1) ~ P1050342行田在来
chichibu8.jpg借金なし



これから宮城〜岩手〜青森〜秋田〜山形〜埼玉〜千葉〜神奈川の旅が始まる。
ミッションは在来種の枝豆??
その前においしいもの食べてから!

『ずんだ』がすんごくおいしい町へ

●第9回角田市ずんだまつり(宮城県)

2階の中央テラスから登場して「ハロマメ!」

111002_zundamaturi03.jpg

1曲歌ったら下におりてきて、1時間の歌&トークのライブです。
この日のために作ってきた『ずんだまつりのうた(振り付けあり)』がある。
歌と振り付けを子どもたちに覚えてもらったんだけど、最後は思いがけない展開に。

振り付けをマスターした子どもたちがステージ側にきて、
「発表会みたいにお客さんに向かって踊りを披露したい」と提案してきた。
いいねーやってみよう。

子どもらは踊りから演出係まで最後までやりきって枝豆王子ライブを楽しさ2倍にしてくれた。
角田の子どもたちに拍手したい!

コピー (1) ~ zunnda1
P1040626.jpg P1040555.jpg


『ずんだ』が主役のお祭りはどこを探しても、この角田市だけだと思う。
そしてずんだもちだけと思ってた者はあわてふためく。
ずんだロール(ケーキ)ずんだコロネ(パン)、ずんだパイ…会場ではなにもかもが『ずんだ』になってる。
おしゃれでおいしい。

コピー (1) ~ IMG_8994 コピー (1) ~ IMG_8995

わかった。
『ずんだ』自体に秘密があってお菓子屋さんはそれにきっと気づいてしまったのだな。
ずるいぞ!おいらも知りたい。

聞いてみるとしよう♪

ずんだの原材料である枝豆は地元・角田市産だった。
東北では広く親しまれている『秘伝豆』という種類の枝豆だ。

角田市役所の方々が農家さんの畑まで案内してくれた。
秘伝豆は夏に花が咲いて10月頃に収穫できる豆。このタイプは夏場の管理が難しい。
今年の生育はどうでしたか?
「夏が暑すぎた。暑さで花芽が落ちたよ。
 花が落ちたということは実がつかないということだから今年は収量がうんと少ない。」と農家の太田さん。

ずんだまつり用の枝豆を収穫したら大豆の分はほとんどなくなってしまったとのこと。
(大量に用意されたずんだ餅はそれでも途中で売り切れる大人気っぷりだった。)

P1040438.jpg IMG_8988.jpg

枝豆は花芽をつけるとまず花粉を作り始める。
受粉したら小さい莢を作り始める。
ところが32〜35℃を超えると花粉は死んでしまうという。
その温度を調整するのが水分。
特に土の温度を変えてやることが必要なのだ。
毎日水を撒けばいいんだけどそれができる規模は家庭菜園まで。

今年はだいぶ苦労されたのですね。
でも味はすごく良かったです。
「収穫できた枝豆もね…莢の大きさがまちまちで、1粒莢も多かった。
 こうなると大変なのは使えるのと使えないのの選別ね。」


ずんだ作りに向いている豆ですよね!と言うと農家さんの表情が変わった。
「甘くて香りが良くて粒の色の緑が鮮やかで、薄皮を取らないでもいい。
 これ以上の豆はないと思うよ。
 秘伝豆の収穫期には餅も新米がとれる時期だけに最高!」
そっかー!いまいただけるのは新米の本当に贅沢なずんだ餅。

ずんだレシピは秘伝豆だけに…秘密ですか?
「秘密じゃないけど、レシピはないよ。
 甘さの加減は天候次第で毎年変わる。
 奥さんが担当だけど、砂糖を入れながら感覚で仕上げてる。」

プロの業。やっぱり秘伝だ。

角田市では農家さんとの出会いだけではなく、いろいろな5つの「め」を楽しんできた。
「め」とはなんでしょう?

ひとつはもう出会ってる「まめ」。
あとは「こめ」でしょう。「うめ」も角田市は有名なんだ。
この地は伊達政宗公の次女牟宇姫が嫁いだ石川家の領地とのことで「ひめ」。
5つめは「ゆめ」。
「ゆめ」とは何だと思ったらこれもすごい!
『角田宇宙センター』
日本の宇宙ロケットのエンジンの研究開発を行ってる施設だよ。
JAXAだよ!
頭のなかに浮かんできた。
ずんだロケットがおいしさを詰め込んで角田市から打ち上げられていくところが。
マッハ10。

ほかにもスペースタワーから阿弥陀如来坐像まで1日がかりで案内してくれた角田市役所の方々ありがとうございました!
すっかり角田が好きになってしまいました。

コピー (1) ~ P1040481 P1040497.jpg


来年もこの時期(10月初旬)は角田市でずんだをグルメしたいな。
これを食べずしてずんだは語れません(秘伝ですな)。



●宮城県・気仙沼茶豆を探して

気仙沼市では『気仙沼茶豆』という枝豆が栽培されている。
震災があり、枝豆も生産者の方々も大丈夫だろうか。

コピー (1) ~ P1040707

JAで連絡を取っていただき、仮設住宅で暮らす枝豆生産組合長の佐藤さんに会うことが出来た。
ご自宅も農機具も水に流されたが農地が2/3ほど残ったのだと笑顔で話してくれた。
「もう今年は畑もできないと思ったけど、流されなかった畑もあるから。やらなければ!」

ぼくが佐藤さんのことを知ったのは新聞の小さな記事だった。
宮城県登米市にある団体が農業の重機をトラックで運んで貸し出し、土の開墾を手伝い、枝豆生産を再開することができたというのだ。

畑を案内してくれた。
これはめずらしい…葉っぱが5枚ずつ生えてるじゃないですか!在来種ですよね?
「最初の葉が1枚ずつ出て次が3枚のが出て、最後に5枚の葉が出てくる。
 14、5年前にある人が山形に行って、おいしいのがあるって持ち帰ったの。」
気仙沼の環境に適応したこの豆は、いまやこの階上地区の宝の1つになった。
5葉の枝豆はたしかに山形や秋田に見つけることができるから、このタネのルーツをこんど探しにいってみよう。

P1040749.jpg IMG_6923.jpg

ここでは枝豆は収穫期を過ぎ、タネになっていく途中の期間(登熟期)に入っている。
枝豆時代は緑だった豆粒はいまピンク色!
このあと粒が小さくチョコレート色になったころ、タネとして収穫するんだ。

IMG_6873.jpg IMG_8986.jpg

タネを見せてもらった。赤みがかった茶色いタネだ。
どこのタネ屋さんにも売ってるのを見たことがないものだった。

「自然災害は仕方ないね。
 それでも太陽の下で働けるのはありがたいこと。
 今年はいいタネが採れそう。希望のタネ。
 まだまだ負けてられない。
 来年はまた例年と同じ面積に戻せるようにがんばるよ!」

本当にステキな組合長さんが作っている気仙沼茶豆。
おいしいだけじゃなくてその向こう側もたくさんのひとに知ってもらいたい。

「東京でこのタネをまいたらどう育つか、実験してみてよ!
 情報交換しようよ。」

そう言って渡された1つかみのタネ。
春になったら、東京でもまいてみます。

旬の時期は9月中旬: 販売・問い合わせ先「菜果好(なかよし)気仙沼階上店」



●ちゃげ丸・岩手県の農業研究センター

ここ数年、順調に出荷されていると思われた…黒豆の枝豆『ちゃげ丸』
「いやあ。来年から供給がなくなるんです。タネは保存されますけどね。」とのこと。
ノー!!売れなかったのか、それとも農家さんに樹が嫌われたのか?

食べたことがなくて申し訳ないのだけど、ある突っ込みどころがあって、すごく気になっていた。
なにかというと、黒豆の品種なのに親が黄大豆と青大豆なのだ(この両親の交配で作られた品種)。
正式な農林水産省の品種登録データにもそう記されている。

またひとつわからないことが増えた。
枝豆・大豆のタネの色はどうやって決まるの??

ちゃげ丸を育種した研究施設を訪ねて聞いてみたけど開発当時の担当者はもういない…。
現在の枝豆担当の方からは岩手の枝豆情報をたっぷり教えてもらえた。

P1040774.jpg P1040759.jpg

種皮の色の謎、絶対解き明かしてみせるぞー!

あとちゃげ丸!この世からいなくならないで!誰か生産してー!!


●在来種を探して岩手県: 佐藤政行種苗さん

あの『秘伝豆』を誕生させたタネ屋さんを訪ねた。
そういえば角田市に滞在中は秘伝豆を1日3食いただいたかなあ。

HPを見ると”タネも仕掛けもある会社”と書いてある(笑
”仕掛け”とはおそらく”こだわり”の意味に違いない。
お話を伺っているうちに、枝豆の在来種の魅力は日本の国土のすばらしさでもあると気付いた。

まずは秘伝豆の紹介から。

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【秘伝豆】
枝豆としても大豆としても利用される品種は”二刀流”とも呼ばれる。かっこいい。
宮城・岩手・秋田・山形など広範囲で地域のメインの品種として採用されている。

最初はどんな完成形を描いてタネ作りが始まったのでしょう。
「枝豆の品種として改良してきたが、あとからどういうわけか納豆や豆腐に加工しても優秀だという評価がでてきた。」と高橋さん。
20数年前に、始めは2種類の在来種を掛け合わせて選抜して開発した品種だという。
片親は『かおり豆』という系統でそれ自体は絶滅してるが、一部を佐藤政行種苗さんで保護して商品化しているという。
山形の『だだちゃ豆』のルーツに新潟は『かおり茶豆』というのが一説となっているが、それとは違う系統らしい。

在来種を新しいタネ作りの素材として集める。
それはどこの試験場でも種苗会社でも行われたことだけど、実際に在来種にこだわって商品化しているタネ屋さんはめずらしいのではないですか?
「在来種は野生のものだから一筋縄には行かない。
 在来種のいいところを探して取り入れるんですね。」
高橋さんは”運”というか、秘伝はたまたまうまくいったと言うけど、執念の研究の成果なのだとわかる。

商品のラインナップを見ると”まだ滅びてなかったのか!”というような昔ながらのタネが並んでる。
在来種の枝豆・大豆はおいしいだけじゃ生き残れない。
生産しやすいように改良してあげないと売れない。
機械による大量生産時代においてけぼりなのだ。
在来種を続けるのはどうしてですか?
「もうからないものはしまえばいいんだけどそうもいかない。
 家庭菜園用や地域で必要とされるという状況があれば在来種は絶やしたくないです。」

交配というのはあとから始まった技術。
昔の人はタネの選抜を繰り返して、栽培した人や地域の好みで選び出していって品種を定着させてきたんですね。
自然のなかで別の品種の花粉が混じり合ったりすることもあっただろう…。
話は尽きない。

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【産毛は白と茶がある】
白と茶の中間の銀色もある。
ここでこれまでの枝豆業界のトレンドの流れをざっくりと。

昔から一般的に言われていたことは白毛より茶毛のほうがおいしいと言われてきた。
北海道の大袖振や早生緑というのがあった。

でも白毛の方が見た目がいいねってことであるときから白毛が増えた。
サッポロミドリがその火付け役だった。
しかも早生品種でお盆の頃に食べれる革命品種。

最近になるとやっぱり茶毛がおいしいよねと茶毛が増えた。

「植物からみたら枝豆の歴史なんて壮大な歴史の中のちょい最近の出来事。
 基本的には自然が作ったものを人間が利用してきたということ。
 それが品種の多様性を生んだんです。」と高橋さん。


【ちゃげ丸に対するヒント】
岩手農業研究センターで育種された『ちゃげ丸』の種皮の色の話に戻る。
すべての多様化した大豆の先祖が『つるまめ』という同じ豆だと考えると不可解なことではないという。
「実際に色の違う豆(タネ)はよく出るし、大豆に限った話でもない。
 インゲンなんかも在来種ではありえます。」
交配の過程のどっかでそういう遺伝子を持ってる。
採種を繰り返している現場ではよくあることらしい。
「タネ屋ではそれをはじいて同じ色が出ないようにそろえるが、どうしたって出てくる。」


【日本の国土がもたらす種の多様性。すばらしいなあ。失いたくないな。】
『秘伝』は関東でも栽培できるのでしょうか。
いま千葉県で試しているらしい。
タネを播く時期を変えなくてはいけない(東北では6月・千葉では7月に)。
えっなんで?
大豆には2種類のタイプある。
夏大豆(早生・わせ)と秋大豆(晩生・おくて)という言い方をする。
夏大豆:万能だが温度が条件の品種が多い
→積算温度(最高最低温度を2で割った数字)で花芽ができる品種
秋大豆:日長時間が関係する品種
→お日様の時間が短くなってこないとできない品種。
たとえば秋大豆を4月にまいても8月にならないと花芽がつかない。
「中間種っていうのもありますけどね。
 うちのタネは秋大豆が多いです。」

日本列島は南北に伸びていて、たとえば沖縄と北海道ではまるで気候が違う。
さらに日本海側と太平洋側でも日長時間や温度が違ってくる。
夏は太平洋側の方が日長が短く温度が低い。逆に冬は日本海側の温度の方が低くなる。

「そうやって南北だけではなく、様々な日本の国土の要素があって枝豆・大豆の多様性も生まれたんです。」
日本の国土すげーー。


このようなことを教えてくれるタネ屋さんが生命力みなぎる品種『秘伝豆』を作ったのでした。
納得でしょう?
しかも今回お話を伺った高橋さんはなんと秘伝豆の袋のデザインもされた方なのでした。



●在来種を探して青森県: 板柳町 の 毛豆

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車を運転中に窓から手を伸ばせばリンゴがつかめそうな道もある板柳町。
リンゴの誘惑。
いやいや、毛豆よ~。

目的の畑に導いてくれたのは『青森・毛豆研究会』の方々と、長内農園のしょうご君(若い!)。

黄金の産毛を持つ『毛豆』の姿。拝みたくなる。


毛豆の撮影に夢中になっていたらしょうご君が
「毛豆、こんなに写真撮ってもらってよかったなあ。」

IMG_7130.jpg コピー (1) ~ IMG_7115

毛豆の起源はまだぜんぜん手がかりもないけど、
「昔からずっと進化してませんけど、なにか?」
と語りかけてくるたたずまいがある。
それだけ毛皮を着ていれば寒くないですかね?

長内農園では毛豆も米も化学肥料は使わないという。
ねずみなどは炭などを撒いて防ぐ。

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岩木山に見守られながら、野性的な姿をとどめながら守られてきた在来種の毛豆。
どんな味がするんだろう。

居酒屋で毛豆をいただく会をセッティングしてもらえて幸せすぎる!
あ〜〜やっぱり毛豆はおいしかった。
茶豆系だと思う。
見かけによらず味にくせがなくて甘くて誰からも愛されそうな味。
産毛は…雄大な自然が育んだ生命力の証!と表現しておこう。
食べるときに産毛が邪魔するんじゃないかって?
それもまたよし。ぜひ1回食べてみてほしい。

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しょうご君が作った毛豆だけじゃなく、別の毛豆もお店の方が出してくれた。
両方の糖度を計って比べてわずかに負けてしまったしょうご君。
「なんだこれ。
 来年は絶対リベンジするから!」

しょうご君は自分のところ以外の毛豆・枝豆は食べたことがなかったという。
ぼくは毛豆のおいしさの秘密を知りたいだけだったけれど、いまここで一人の若い農業者が地豆のすばらしさに気づき、やる気宣言をしてくれてる。
「うちの豆まだまだこんなもんじゃない。糖度計がぶちこわれるくらいの毛豆を作るぞ。」って。

こっちも毛豆の歌を作る宣言。
しょうご君の毛豆の糖度が5上がったら曲作りのテンションが5上がる!
って言ったら「糖度いくつ上げようかな~」だって。

楽しい縁をもらってることがちょっとずつ自分の宝になっている。
食育も音楽も。自分で見て体験したことしか結局のところ伝えたくないのかもしれなくて、そうして枝豆をめぐる探検はどんどん続く。
「豆の感想言ってくれることがうちの豆の一番の肥料になる。
 そうやって枝豆王子が回れば各地の豆のレベルが上がると思う。」と言ってくれた(涙

青森リンゴの世界でも、とにかく甘みを追求している時代。
でも年配の人は少し酸味のあるリンゴのほうがおいしいっていうらしい。
昔の果物・野菜の味はどうだったのだろう。
日本人は味覚が麻痺してきているのだろうか、なんて話もした。

幻の枝豆・毛豆。
おいしいから絶対に追跡調査したい!



●秋田県 枝豆生産量・日本一を掲げる

秋田の枝豆の入口はいろいろあると思うけど、
品種に興味があったので県庁は種苗振興課を訪ねた。

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秋豆・秋の味。
7月下旬から出荷が始まって、9月に収量がアップしてくるのが秋田の枝豆の特長だ。
品種は現在は市販のタネ『湯上がり娘』や『秘伝豆』などを時期によって使い分けている。
9月はいま開発中のも含めて地場産に由来するものを増やしていくかどうか検討中とのこと。
地場産についてはまた後で書きます。

枝豆業界で秋田県は新勢力となってますね。
「秋田は米どころ。他にも野菜をたくさん作っているが知名度が上がらなかった。
 何が第2の作物になりうるか探している状態だったんです。
 全国のトップクラスになれるものを検討した結果、枝豆に目が向けられたわけです。」
もともとは減反で転作が始まり、大豆にシフトしていたことが大きかったとのこと。
そして予冷庫を各農家に補助する!といった思い切った作戦。
こうやってブランド化って始まるんですね~。
この勢いで「今年は7月に秋田版えだまめサミットも開催した」そうです。

おもしろい話も聞けた。
JA秋田ふるさとでは『アントシアニン豆』だけを詰めて出荷したという事例があるという(今年は不明)。
ああ、マニアックな事例…。
東北の枝豆のなかには10月以降、寒くなってくると”寒さ対策”としてアントシアニンという成分を使って身を守ろうとする者が出てくる。
アントシアニンの色素(紫色)が莢にもでてきてしまう。

P1040230.jpg

この現象は朝晩に冷え込んだ証だから、昼との寒暖差によって豆の糖度が高くなってる証なのだ(ゆでると緑色に戻るらしい)。
規格外になってしまうこの紫色の枝豆を、事情を知っている人だけに販売しようというもの。
食べてみたい~。

もう1つ心に残った話。
「県外に出て試食販売などで枝豆を出すとしょっぱいと言われるんですよ。」
塩加減…。
「秋田ではもともと塩をたくさん使う文化があって、
 雪国だから冬の食糧を秋の間に塩漬けなどにして蓄えてきた背景があるんですね。」

食文化。
それはこれから秋田で調査するときにとても役立つ知識です!


さて日本一の生産量を目指すためにとられた作戦は”収穫できる時期を長く設定する”こと。
枝豆の品種はそれぞれタネまきする時期が決まっているから、タネまき時期をずらすためには多くの品種を選定しないといけない。
農家さんが売るものがなくて困る時期(端境期)がないようにしたい。
その端境期に収穫できる品種開発を秋田県から任されている秋田農業試験場へ行ってきた。


●秋田県には星の数ほど在来種の枝豆が存在する: 秋田農業試験場

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この試験場が心がけているスタンスは、秋田の在来種を生かしていくこと。
それが”秋田らしさ”につながる。
研究の現場を見学させてもらえた。
地豆を片親にして開発された『あきたさやか』『かおり五葉』は現在秋田の2つの端境期を担っている。
もう端境期は埋まっているのですね。今後の目標は何になるんですか?
「こんどは、いまある品種の強化です。
 味の品質だけでなく、機械に対する莢の強度、秋田で起こりうる病気への耐性までもふくめて。
 完璧な品種なんてありえないのですから。」
病気への耐性ってまさか枝豆に予防接種とか…。
「いたってアナログです(笑。
 わざと排水の悪い(病気の起こりやすい)環境でも育ててみて、病気にならなかった強い樹からタネを採ったりします。
 そして他の品種と比べながらデータを取り、相対的に評価するんですね。」
いや~安心しました。でもそれだけでも年数かかって大変ですよね。

そういえば秋田に在来種の枝豆があるんですか?聞いたことないです。
「遺伝資源収集担当という者がいまして、
 大豆の在来種を調べて回って枝豆としてどうかを調べてデータベース化した人がいます。
 その資料をもとに品種開発が始まるんです。」

わおー!その方にもぜひぜひ話を聞いてみたいです。
というわけでまた秋田の枝豆の奥深いところまで教えてもらえることになりました。
ますますおもしろくなってきた!

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【在来種の名前には手がかりが隠されている】
平成5年から9年くらいまで県内全域を回って大豆・枝豆の在来種のデータとタネを集めたという。
すでにお年寄りが多かったらしい。
「昔、大豆は大切にされた。
 娘を嫁に出すときなどは親が育てていた大豆のタネを持たせたりしながらタネは全国に散らばって混ざっていったと思われます。
 ルーツを聞いても親戚からもらったとかそういう情報しか得られなかったですね。」
大豆の名前に関しても昔からそういわれてたから由来などもわからないという。名前のないものも多数。
「そういえば『あおづる・あおじる』という名前のもありました。
 たぶん豆自体の色が濃いので煮たときにお湯に色がつくのではないかなあ?
 『雪の下』という名前のもあった。
 大豆として収穫する頃には雪が積もってしまっているのでは?
 名前には手がかりが隠されていることが多いです。」


【タネが移動する理由】
自家用に栽培しているひとがほとんどで、厳密に管理されていたわけはない。早生~晩生まで様々。
「親戚から”おいしいまめあるよ”っていうと”ほしいな”って具合に秋田県内に限らずどんどんタネは地域を移動したんです。」
おいしいタネはタネ採りを絶やしたらこの世から消滅してしまうので大事に守られたんですね。


【在来種に外観がいいものはない!?】
実際に交配に使われるのはどんなタイプの在来種ですか?
「交配に関しては予測はするが実際掛け合わせてみないとどうなるかわからない部分が大きいですよね。
 まず最初に親にする大豆の外観を観察し、莢が大きいか付きがよいか枝豆として食べて(外観が悪かったとしても)美味しいかを見る。
 在来種には外観がいいものはほとんどないのです(笑。
 500くらい種類を集めて食味のデータを取ったかな。」
すごい!!
「食べるのは簡単なんだって(笑。
 何人かに食べてもらって点数をつけたり、微妙なところはわからなくなるときもあったがはっきり違いがわかるものもありました。」


【在来種の探し方】
どうやって在来種を探したんですか?
「最初は情報ゼロの状態で、ある集落に入ってまず1軒入る。
 タネを持ってないか聞く。持ってる人がいないか聞く。」
4年間ずっとですか?
「いくのは冬場だけです。家の中でタネを乾かしている時期。
 タネをもらってくる。それを試験場で植えます。」

秋田は在来種の宝庫だったんですね。
そのほとんどが滅亡したかもしれないけど、知ってしまったからには!
あきらめないで探してみたいと思っています。


●5粒入り枝豆を見たことがある?

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今年の夏、秋田県のある農家さんのところで5粒入り枝豆が発見された(写真提供:秋田の森川農園のケンさん)。
その農家さんから写真を入手し、メールでやりとりさせてもらったけど、何が5粒豆を誕生させた要因なのかわからなかった。

雪印種苗の枝豆担当さんによると、

「枝豆・大豆は理論的には1つの莢の中に最大5つの部屋を持つことができる。
 しかし5つのすべての部屋に豆が入ることはほとんどない。
 私は20年以上枝豆に携わっているが見たことがない。」

とのことだった。
見てみたいなあ。
それはもし手に入れることができたなら食べないでタネを採り、翌年に育ててみたい。

今回、5粒豆が出た農家さんは稲刈りの最盛期だったためお会いすることができなかった。
来年も出現するだろうか…。気になる。


一昨年に大仙市のお祭りに枝豆王子を招いてくださった高橋さんと久しぶりにお会いしてうれしいひととき。

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●山形県の内陸で在来種を探す

最上郡のお役所に問い合わせて紹介していただいた3軒の農家さんのところを訪ねてきました。


1・舟形町へ

青黒豆(あおぐろまめ)を栽培している奥山さん

コピー (1) ~ P1050026

タネが青くて濃いですね。どんな枝豆でしょうか?
「青黒豆は枝豆としてはね、ほとんど食べない。
 煮豆用として直売所などに出すの。
 翌年にタネまいて余った豆はすべて”打ち豆”にしてしまうのや。」
打ち豆→水で微妙にふやかした豆をハンマーで平べったくつぶして乾燥させておく。
煮物なんかに入れて使う。

豆腐屋で豆腐にしてもらったけどどうしても固まらなかったという。

この豆は先祖代々受け継がれてきたものですか?
「昔に親戚から青豆だって言ってもらったもんで青豆だ青豆だって言ってたんだけども、あるとき大学教授が来て青黒豆だって教えてくれた。
 よく見れば緑が濃いしへそも黒くて納得。その日から青黒豆になった(笑。

花は白くて丈は伸びる。肥料は入れない。ふむふむ。

青黒豆、くるみ豆、秘伝豆、丹波の黒豆のそれぞれ枝豆を用意してくれていた。
写真は青黒豆・くるみ豆(大)

P1050062_1.jpg

青黒豆の枝豆の感想:
秘伝豆と食べ比べると味が淡白で甘さが足りなかった(毎年こんなもんだという)。
緑色が濃いぶん緑の香りと、なんというか…豆力が強かった。

「枝豆がどうのこうのって考えたこともなかったからにや。
 ビールのつまみにあればいいなってくらいで。」

こどもは間違いなく甘い豆が好きだと思う。
でも消費者が枝豆にはこんなたくさんの種類があるってことを知ったら、甘いのだけじゃなくこういうのもあるんだという趣向の幅も広がると思う。
もっと豆の味がする枝豆を食べたいというひとも出てくる。
そうなったときに青黒豆も「豆」の味を楽しめる貴重な豆としてファンができるはず。
ぼくの活動の結果、消費者の枝豆の趣向の幅が広がっていくことになればいいと思う。
そこで甘み志向から見放された在来種の枝豆に脚光が当たり始めることを信じている。


2・新庄市へ

くるみ豆を栽培している佐藤さん

コピー (1) ~ 20111007(115546)

くるみ豆も大豆ですが枝豆として食べることはありますか?
「枝豆の状態でお客さんに提供するということはやっていないです。
 枝豆王子さんに評価してもらおうと思いまして。」
くるみ豆の枝豆と秘伝豆が登場。
責任重大じゃあ。

くるみ豆の感想:
青黒豆と同じく淡白で甘さは足りない。秘伝豆はやっぱり甘い。
くるみという名前の先入観からか、少しいただいただけでおなかに満足感が。

「油分は多めですよ。通常は味噌に使うんです。
 需要があればくるみ豆の味噌を販売することが可能だが、しかしどこに売ったらいいのか模索している状態です。」
佐藤さんは”くるみ味噌”をおにぎりに塗って食べるとおいしいという。
それは絶対おいしい!
味噌も味見させてもらったけどまろやかで深い味がした。

「いままで本当にいろんな種類の枝豆・大豆をやって試してみたんです。
 この辺では豆腐に使うなら『ようのこ豆』を使うのが一番よいという評価が出た。
 きな粉をつくるなら『黒神豆(こくじんまめ)』→地元でも知る人ぞ知る幻の品種。

これ両方とも黒神ですか?違いますよね?
「同じ種類です。不思議なことに1つの樹から同じ割合で緑のと茶のが出る。
 あまり気にしないで両方のタネを播いてる。」
ひえーーこれはまた不思議な大豆に出会った。

IMG_7418.jpg IMG_7412.jpg

「黒神は炒って粉屋さんに持っていき、ひいてもらうんです。きな粉が完成。
 炒り具合で変わってくる。
 あと牛乳に入れて飲むひとが多いかの。」
きな粉ミルク!そういう農家の方たちの直伝レシピや健康法を伝授しながら販売できたらいいですね!
「自家製の山ぶどうジュースも飲んでみるか?アルコール0の山ぶどうワイン。」
おいしいものがどんどん出てくるーー。

【おいしいものは広まらないともったいない作戦会議!】

”農家さんが昔からこういう食べ方を受け継いできましたよ”っていう方法や、秘伝のレシピ。
これほどインパクトと説得力があるレシピはないじゃないですか(農家さんにとっては当たり前でも)。
調味料は熟成加減だけだったり、シンプルなものも多いと思う。

またそれはどんな場所で育ち、どんな生産者さんが作っているのか。
その情報や思いが加わることでおいしい+価値があるはず。

その土地の素材を思いもよらないアレンジ(組み合わせ)でおいしいメニューにしてしまう 、そんなレストランもある。
それを求めて県外からもお客さんがやってくる。
そういう場所があればいいけど… 、1農家さんのところで眠ったままの”お宝レシピ”もたくさんあるってことよね。
農家さんがそのレシピごと販売できたらそれってきっとニーズあるよね??

「消費者と生産者がうまくつながれば、生産者の意欲はどんどん伸びると思う。」
というひと言がズキンときた。
交流の機会のアイディアを、ぼくも一緒に考えていきたいです。


3・鮭川村へ 神代豆を生産している堀米さん

P1050077.jpg P1050097.jpg
山の中腹を切り開いたような一帯に神代豆の枝豆畑は広がっていた。
農家さん以外にひとの気配はなく神代豆の楽園…かと思いきや
「鹿とかイノシシとかが普通にいますよ。」
確かに晴天なのに周りの木立の中は暗くて、そこで獣がこっちを見ているような視線を感じた。
「あと春になると土を起こすときに地質学者のような人が来てなにか探してるんですよ。」
なんと畑の地下に古墳が眠っている可能性があるらしい。
それはもし発見されれば伝説の枝豆(神代豆)になりますよね!
堀米さん「……(きょとん)。」
すいません、ちょっと話を作り上げすぎました。

神代豆はこのあたりで昔から栽培されてきた『あおばた豆』という大豆の、より大きいもの大きいものを選抜して誕生した品種。
莢がゴツゴツとして豆粒も大きいから食べ応えのある枝豆です。

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収穫は9/25~10/16前後。
収穫時期が寒いので莢がアントシアニンの紫色になってきてる。
樹が高いので倒れないような工夫をしながら栽培している。

いただいた神代豆を夜に食べたとき、豆の向こうに浮かんできたのはあの絶景。
山々と神代豆畑のほかに何も見当たらないあの場所だった。
迫力あるごつごつとした莢も東京のスーパーでは見たことのないタイプだった。



●山形県鶴岡市の理化学研究所 を見学

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エダマメ研究会でいつも仲良くさせていただいている及川先生や富田さんたちのところへ。
職場に伺うのは初めてだった。
世界最先端の研究施設で、スポイトまでもが最先端!
理化学研究所恐れ入りました。
一台が数億円という機器類を前にして説明してもらう。
一滴の知識でもいいから吸い取りたーい!


及川先生の部屋は植物科学研究室。
その1つとして”だだちゃ豆の魅力”もここで解明されていく。

おみやげは農家の方々からいただいた7種類の枝豆。
せっかくたくさんの枝豆が揃ってる。
研究室のテーブルの上で枝豆の種類当てクイズが始まった。
なんと7種類のマメ全問正解者が出た!
それは枝豆王子!ではなく…この研究所で、だだちゃ豆の糖分・香味成分などの解析を行っている富田さん。
富田さんの勝因は、食味を記憶するのではなく、枝豆の名前と豆粒の特長との関係に視点をもっていったところだそうです。

枝豆はよく見れば種類ごとに顔が違う(へその部分も見てごらん)。
成分も香りも違う。

今回はおいら出題者だったから富田さんと対決してないけど、今回の全問正解には少々あわてた。
さすがとしか言えない。

及川先生はほとんど正解しなかったが枝豆をたべて満足そうな笑顔を浮かべていた(笑

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関東へ

●在来種を探して埼玉県1・秩父 借金なし

枝豆には収穫する機械に向くのと向かない種類がある。
全国的に昭和20年代くらいに農業の機械化が本格化した。
機械に向かない多くの種類は滅びていくことになった。

機械に向かない品種たち↓
1・莢が弱く裂けやすい(枝豆は大豆と違って莢ごと商品になる)
2・地面すれすれにも豆が生る(機械がすくいとれない豆たちが畑に置き去り…)

埼玉県秩父市の『借金なし』の場合は地面の近いところにかなり莢がつく。
ある程度営利的な栽培をしていくとなると他の枝豆とは勝負にならない。
そういうなかで”秩父ならではの借金なし”ってことで付加価値をつけて売ろうと、いま復活を遂げたところ。
「しかしやはり昔の品種であることは確かなんです。」と秩父農林振興センターのながしまさん。
一般の枝豆と比べると見分けがつきやすいですよね。
莢が小さくて『ベビーエダマメ』って感じ!
「このあたりでは白光(はっこう)という大豆が昔から栽培されています。
 白光は収量性が高いし、現在まで残った理由が改めてわかりますね(笑。」

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それでは『借金なし』のマメ知識
・借金なしは「借金がない」という意味ではない?
『なし』は秩父地方の方言で『なす』ともいうが「返す」という意味になる。
この豆を栽培すれば借金を返せるという言い伝えがあるのじゃ。
・どっちかといえば大豆用品種だけど、枝豆としても甘くておいしい
枝豆収穫期は9月末〜10月あたま。

秩父にはまだまだたくさんの在来大豆が保存されている。
『借金なし』だけが1軍に昇格した。
選ばれなかった在来種たちはいつか出番が訪れるときのために農林総合研究センターという施設で栽培されタネが保存されている。
案内してくれた。

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こんな多様な種類が保存されてる!(ドキドキ)
食べ比べさせてもらえるんですか??

それぞれ個性があってよい味だった。
けどやっぱり『借金なし』は甘い枝豆だとハッキリわかる。
あとはこのユニークなネーミングの勝利か。


続いて『借金なし』の生産者さんを紹介していただいた。

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「ここらへんは山一帯がすべて桑園だった。養蚕を飼うための桑。
 いまは桑のジャングルになっちゃって、土地改良事業ってことで開墾されたの。」

復活する在来種の栽培ってどういうきっかけで始まるのだろう??
借金なしはいつからですか?
「今年で3年目。火付け役は知事さんかなあ。」

どうやらこういうことだ↓
政財界のひとを集めて開かれた4年前の賀詞交換会っていう席で、埼玉県知事が
「埼玉県にはこういう珍しい名前の大豆がある」と借金なしを紹介「この大豆で不景気を吹き飛ばそう」と↓
それがメディアなどで取り上げられて、じゃあ借金なしはどこにいけばあるんだってことになり↓
それがちょうどこの畑で何を作ろうかなあというタイミングだった。

栽培は広がっていったんですね?
「いまうちの借金なしのほとんどが味噌用になってます。
 農作物っていうのは作っても売れなければものにならないじゃないですか。
 ほしいっていうひとがあったんですよ。けっこう。」
味噌メーカーは1工程で大豆2トンとかで大量にやるらしいです。
最低でも1工程分はほしいって話になり(最低ロットっていう単位)、それを借金なしの大豆でやりたいと。
こだわりをもった味噌屋さんですね。
え、えだまめは…?
「オーナー制を利用してもらって枝豆の収穫イベントをやっていますよ。
 この地区で『龍勢(りゅうせい)』っていうロケットのお祭りがあるんですよ。
 その日に枝豆を収穫してもらって、なおかつ龍勢ロケットを見ていただこうってことで合わせてやってる。」
手作りロケット。
ロケット花火の大型版。発射台とロケット30台ほど作って空に打ちあげるそうだ。
枝豆とロケットのセットいいですね〜。
「あと大豆を収穫した後はここに麦をまくんですよ。
 ビール麦っていうのを。
 それを使ったウィスキーが発売されたんです。」

秩父から生まれた初めてのウィスキー。
なんだか1年中楽しみがありますね!
「でもね。やっぱりこれは農業の宿命ってゆうんか、花の咲いた時期にちょうどお湿りがないだとか異常な熱さで…。
 なかなかこればっかりはね。」
これは秋大豆を生産する方たちの共通の悩みなんですね。

タネはやはり大きいものを選抜していくんですか?
「うちは中くらいのかな。
 まずタネを選別機にかけるんですよ。」
そんな機械があるんですね。
大中小だとか、大豆にした場合汚れや紫斑病があるだとか、色を区別する機械にも同時にかけるという。
「たとえば大豆の中にもしかしたら黒豆とか入ってる恐れがあるんですよ。」
ええっ?ここでも色素の話が…。
「わからないけどなぜか黒いのが出るんですよ。20kgにいく粒か。」
借金なしじゃなくて借金黒ですね。
「借金返して黒字になるほうがいいかね!」
規格外にしてしまうのはもったいないかもしれませんね。

地域にあるものを楽しいアイディアで広げていくことができたら、やりがいが出てくるのだろうなあ。
多少収量が落ちても、味が良いものを追求したいと話していたのが印象的だった。



●在来種を探して埼玉県・2 行田市 行田在来(ぎょうだざいらい)

コンパクトな樹で、葉の形が長いのが特長(これはめずらしい)。

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『行田在来』は豆腐や枝豆として出荷されている。
枝豆は10月の上〜中旬に県内の大きなスーパーに行くと発見できる。


埼玉県内には他にも復活を遂げた在来種がいくつかある。
江戸時代くらいに栽培されていた記録があるこれらの枝豆・大豆は、いつしか栽培が途絶えてしまうが、
一部のタネは行政の農業機関で保存されていていたんだ。
復活したきっかけ・タイミングはそれぞれ『借金なし』と同じような背景があるみたい。

在来種が見直されてきているのかもしれない。
復活ブームで終わらせないように、大切にされる存在でいてほしいと願ってる♪




●在来種を探して埼玉県・3 飯能市野口種苗

全国で唯一、在来種のみを扱うタネ屋さんが埼玉県にある。野口種苗さん
枝豆のタネはまだ採れない時期だけど、埼玉の在来種の話を伺ってみたかった。

「借金なしにしても行田在来にしても去年まではうちでタネを販売してました。今年は入ってこなかった。
 急に新聞に載ったりして需要が増えたから。
 うちに卸す分量がなくなっちゃったみたいね。」
在来種の魅力を地道に普及されている野口さんは複雑そうな表情。


枝豆の種類の数を調べているんですけど手がかりは…?
「種類は無限に増えていると同時に無限に減っています。」
たとえば東北の豆をひとつ関東にもってきて播いて3年ほどタネ採りを繰り返す。
するとどんどんこっちの地域に合わせて生育状況が変わっていく。収穫できる時期さえも変わってくる。
そして新しい名前がつく。1つの種類が誕生です。
「そのタネ採りをやめればその種類はそこで絶えちゃいます。」

いまこの瞬間にもどこかで滅びていく在来種がきっとありますよね。
「在来種はだいたいよそから入ってきて、これはうまいからっていうんで作られてきたものですよね。
 収量が問題じゃなかった。味が問題だった。」
ある時期から収量が問題になってきて、収量が多いものの方がお金になるってなっていく。
そういうものにみんな席巻されてきたという。
「農業として成り立つにためはとにかく収量が多くなきゃお金になんなくちゃだめなんです。」
そのとおりです。。

「北海道が日本中の大豆の産地になったから、みんな北海道の大豆に負けちゃったわけですよ。」
ずばっとした表現ですね。
要するに豆っていうのは温度が高いと受粉しないということで。
豆は北海道が一番作りやすい。
それで北海道が豆を集約することになった。
そこで作ったタネが日本中に広がっていったとのこと。
「本州では、たまたま土着できたものだけが残ってるんです。」

ぼくはほとんどうなずくばかり。
そして話はTPPへ。

「TPPに参加したら在来種は全部なくなるかもしれない。」
!?そんな項目ありましたっけ!?
「参加国をまとめて1つの経済圏にするためには勝手な品種が勝手に流通してはまずいんです。」
同じ規格のものを全体で同じ金額で流通させないといけない。
だからタネを採って栽培することが禁止される恐れがあるということです。
「アメリカではそういう法案が可決されたばかりです。
 日本もそれが必要と認めたらそうなる。」
野口さんのところには外国から訪ねてくるひとも多い。
世界中の農業の情報が入るからこそ警鐘を鳴らしているのだ。
作物にとって自由貿易・経済効率は何を意味するのだろうか。

「決められた野菜で決められたタネしかたぶん我々は播けないし、それでできたものしか食べれない。
 そういう国をたくさん知ってます。」
…日本の農家さんでさえ、知らないことだと思います。

そういう社会が来たら困るから、野口さんはいま流通しているうちに生き残っている在来種のタネを集めて日本中にばらまいてる。
そうすれば、方法が間違いだったと社会的に世界的にわかったときに、そのタネを誰かが持っていて復活することができるという。
生きてるタネさえ残っていれば。
「それが残ってないと、もうUターンできない。人類は滅亡するだけだ。」

在来種、ますます守りたくなってきた。
勉強するべきことも増えた。


こんな珍しい書物も見せてくれた。
(明治39年の野菜のカタログを拝見)
そのころ例えばどういう枝豆・大豆が日本で流通していたのかがわかる。

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このころにはもう早生(わせ)という言葉があった!

「早く採ったものの方が売れるから、早く採れるものを作るんだという農家さんがいたでしょうね。」
大豆は晩生であればあるほど味がいいといわれる。収量も多いという。。
自分で食べたり自分のうちで味噌作ったりするのであれば味が良くて収量も多い晩生ばっかりが選ばれていく。
「早生っていうのは自分で食べることより人に売ってお金にするためのもの。万能性があるということです。」
大豆は本来は晩生だから日が短くならないと花が咲かない。
そのなかから少しでも早く採れてタネになるようなものを選んでいくのがタネにするための農業のやり方で、タネ屋さんや農業試験場が育種するというわけなのであります。

一週間後、野口さんの著書『タネが危ない』を読んだ。
うーん、何て書いたらよいのか…。
本の感想になってないかもしれないけど↓

自然の摂理に従って作るのが”在来種”の野菜。
さっき近所のスーパーに行ってみたけど在来種はまったく見かけなかった。
滅びても誰も困らない。
でも在来種さんは”タネはいのちである”ということをぼくらに教えてくれる大事な先生なんだと思う。

このことにぼくらが関心を失ってしまえば”タネが危ない”というより”ぼくらのいのちが危ない”のではないかなあ?
ぼくらの細胞1つ1つが悲鳴をあげ始める気がする。

在来種のようなタネが滅びてしまいませんように。



●在来種を探して神奈川県・ 津久井在来

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『津久井在来大豆』の生産者・島村さんを訪れる。
いきなり質問される。
「全国の枝豆を見て回ってこれと同じもの見たことあります?」
え、えっと…まず見た瞬間ですね、莢のうぶ毛がタンポポの綿毛みたいに真っ白なのが特長だなあと。
いままで見たなかでダントツで白いです!

比較的タンパク質は少ないが糖質が多いということで、枝豆としてはもちろん煮豆や味噌なんかに向いてるらしい。
地面すれすれに実がついてるので刈りにくそうですね。
「まあうちは機械を使わないからいいんだけど、
 台風で樹が倒れかかったようなときに土寄せがなかなかできない。」

津久井在来を始めたきっかけはなんですか?
「とにかく味がいいと思って始めました。」
そしてこの辺りも合併で津久井という名前がなくなり、津久井を残していきたいなという思いも重なったという。

他の豆を試そうとは思わなかったんですか?
「だって地元にこんないい豆があるんだから。」
津久井愛ですね!
「だとしたら5年前に就農したのがきっかけですね。」

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ブログを拝見して、
”化学肥料も農薬も使わないで育てるってことが昔ながらの在来種を保存するってことなんだ”
という思いにしびれて今日伺いました。
「最初の年の収量は虫に食われて選別したら半分以下になりましたよ。
 それがだんだん収量が増えてきてる。
 そのタネを残していくことで確実に強くなってる。
 虫がつくのは土なりタネなりに問題があるので、
 だから我慢してずっと選抜を続けていけば薬なんか使わなくったってうまくいくようになると実感してます。
 まだ量はそんなに多くないし枝豆として販売するのも量はわずかですけどね。」

やっぱり。ものすごいこだわりですね。
「その土地とその季節に合ってできるものが本当の旬なんです。
 病気を治すものは食べ物、病気を作るものも食べ物。
 安全な食べ物の価値をわかってほしい。」

野菜が自由に育ってますね。
「うちには野菜の規格とかないんで(笑。
 お客さんもきゅうりが曲がっていようが”いいいいいよ”って気遣ってくれるから本当に助かまります。」

”野菜の生命力”っていう新しい表示方法や視点があったらいいなと思ったりした。
減農薬や有機のマークだけではなく。
生命力は数値に出せないけど、野菜を瓶に入れて腐るまで放置して比べると違いがわかりやすいと教えてくれた。
自然栽培のものは見た目は腐ったように見えても腐ってるんじゃくて枯れて発酵してるんでいいにおいがするんだとか!



●在来種を探して千葉県1・ 鴨川市 鴨川七里(かもがわしちり)

11月にいただける幻の枝豆があるんです。冷凍じゃないっす。
『鴨川七里』
商品パッケージも”もみじ”になってる!

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11月に収穫しようって誰が決めたんですか?
「いえ、もっと早い時期から収穫ができるよう県の研究圃場のほうで研究中です。
 いまはまだ2週間くらいしか味わえる時期がないので。」
もみじの時期を狙ったというわけではなく、
結実の時期はこの地域に土着した枝豆自身が決めたことなのだ!

それを人間によって収穫時期を変えることは容易なのだろうか?
「鴨川七里っていう種類の中にも、そのなかで若干違う種類が20種類以上あります。
 1種類じゃないんです。
 いまそれを選抜して七里の中でも早いもの、中間、晩生のものというふうに最終的には時期ごとにその3つを主系統として、
 まだ試験圃場のほうで選抜しているような段階です。」

七里っていい名前ですね(何メートルかわかりませんが)。
「ええ。ゆでたり炒ったりすると香りが七里先まで広がるという言い伝えを元につけられました。」

知名度も広がっていますか?
「オーナー制度を実施中で、今年は400名が参加しました。
 商工会議所のHPで生育の経過を報告しながら、参加者のほとんどは収穫だけ訪れます。」
農協の直売所や都内の伊勢丹にも卸しているという。

10月中旬から11月上旬にかけて鴨川市の宿泊施設に泊まると無料で『鴨川七里』摘み放題ができるらしい。
※必ず施設に確認してからご予約ください。


●在来種を探して千葉県2 君津市 小糸在来(こいとざいらい)

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『小糸在来』
オーナー制の畑が、とにかくでかい。
在来大豆をここまで繁栄させるまですごく苦労されただろうなあ。

農家さんの話を伺うことはできなかったけど豆ストーリーを今度追ってみたいです




はー!
1つのミッション完了。
もう引くに引けないところまで来ましたな。使命であります。

ぼくにミッションを与えてるあなたはいったい誰なんですかー!?










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